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KINDLE BOOK

藤原 誠一 著『受験・学校選び』Kindle版 書影

受験・学校選び

元教室長が教える
後悔しない塾の決め方

Kindle版/2026年4月刊

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中学生に塾は必要か?塾なしで高校受験に挑める条件と、その限界

中学生に塾は必要かを解説するインフォグラフィック。元教室長・藤原誠一が、塾に通わない中学3年生4割の数字と、塾なしが成立する4条件、内申135点の構造を整理

この記事のサマリー

  • 中学生に塾が必要かどうかは学力で決まらない。学習の自走・入試情報の自力収集・家庭の伴走の3条件で決まる
  • 中学3年生の40.1%は学習塾にも家庭教師にも教わっていない(令和7年度全国学力・学習状況調査)。塾なしは少数派ではない
  • 塾なしで上位を取る生徒には4つの共通条件がある。4つのうち3つ以上を満たせるかが分かれ目になる
  • 塾なしで最も差がつくのは学力ではなく情報。神奈川の内申は第2学年+第3学年×2の135点満点で、逆算した設計が要る
  • 塾が必要になるサインは学年ごとに違う。中学3年生の秋以降に気づくと修正コストが跳ね上がる
  • 必要と判断したら集団進学塾・個別指導・通信映像の3タイプから、ご家庭の状況に合うものを選ぶ

中学生に塾は必要かという問いに、一律の答えはありません。塾なしで公立上位校に届く家庭は実在しますが、それが成立するには条件があります。首都圏の大手学習塾で18年間勤務し、教室長として進路指導を統括してきた経験から、塾なしで挑んで最後まで走り切ったご家庭と、途中で行き詰まったご家庭の差がどこにあったのかを整理します。「うちの子は塾に行かせるべきなのか」と迷っている保護者の方にも、「塾に行きたくない」と言っているお子さん本人にも、判断の材料になる線引きをお示しします。

中学生に塾は必要か──判定基準を先に示す

答え:中学生に塾が必要かどうかは、学力の高さではなく3つの条件で決まります。学習を自分で回せるか、入試と内申の情報を自力で取れるか、家庭が伴走できるかの3点です。3つとも成立しているなら塾は必要ありません。1つでも欠けていて、それを家庭内で埋める手当てがないなら、塾という外部機能を入れる判断が現実的になります。

「塾は必要ですか」というご相談を、教室長時代から何百回と受けてきました。塾の側の人間が答えると「必要です」に寄るのが普通ですが、実際に面談してきた実感としては、必要のないご家庭も確かに存在します。そして、そのご家庭に無理に通塾をすすめても、時間とお金を消費するだけで成績は動きません。まずは必要・不要を分ける線がどこにあるのかを、正直に整理します。

「必要か」を分けるのは学力ではなく3つの条件

成績が良いから塾は要らない、成績が悪いから塾が要る。この理解は実態と合っていません。学年上位でも塾に通ってさらに伸びる生徒がいますし、平均前後でも塾なしで志望校に届く生徒がいます。分かれ目になるのは次の3条件です。

  • 条件A|学習を自分で回せるか やることを自分で決め、決めたとおりに実行し、できなかった原因を自分で特定して修正できるか。誰かに管理されないと動けない場合、この条件は満たしていない
  • 条件B|入試と内申の情報を自力で取れるか 志望校の選考の仕組み、内申の計算方法、自分の現在地を、保護者または本人が公的資料から読み解けるか。「学校が教えてくれるはず」という前提では成立しない
  • 条件C|家庭が伴走できるか 週単位で学習の進み方を確認し、必要なら軌道修正を促せる大人がいるか。時間的にも心理的にも余裕があるか

3つとも満たしているなら、塾に通わないという選択は十分に合理的です。逆に、1つでも欠けていて、その穴を家庭内で埋める見込みがない場合、その穴を埋める外部機能として塾を検討することになります。順序としては「塾に行くか行かないか」ではなく、「どの機能が足りないか」を先に決めるほうが判断を誤りません。

中学生の通塾率と、通っていない層の実像

塾に通っていない中学生がどれくらいいるのかは、国の調査で確認できます。文部科学省の全国学力・学習状況調査では、中学3年生に対して「学習塾の先生や家庭教師の先生に教わっていますか」という質問が置かれています。

中学3年生の「教わっていない」と回答した割合の推移(全国学力・学習状況調査)
調査年度 教わっていない
令和7年度 40.1%
令和5年度 39.4%
令和3年度 36.6%
平成29年度 38.7%
平成28年度 39.2%
平成27年度 39.2%

直近の令和7年度で40.1%です。10年前とほとんど変わっていません。中学3年生のおよそ4割は、塾にも家庭教師にも教わらずに高校受験を迎えているということになります。塾に通っていないことは、決して例外的な選択ではありません。

同じ調査の学習時間の項目を見ると、この層の実像がもう少し見えてきます。中学3年生のうち、学校の授業時間以外に平日1日1時間以上勉強している生徒は61.7%、1時間未満は37.9%です。通っているかどうかより、机に向かう総量が確保できているかどうかのほうが、結果との相関は強いというのが現場の実感と一致します。

費用の面からも同じ傾向が読めます。文部科学省の子供の学習費調査では、公立中学校3年生の学校外活動費が年間約44万6千円で、公立の全学年を通じて最も高くなっています。うち学習塾費などの補助学習費が約39万円です。中学1年生の段階では約17万2千円ですから、3年間で支出が2倍以上に膨らむ構造です。塾なしを選ぶ判断には、この負担を回避するという合理性も含まれています。

出典:国立教育政策研究所「令和7年度 全国学力・学習状況調査 報告書・集計結果」文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」(令和8年1月16日公表の訂正版)

塾なしで上位を取れる生徒に共通する条件

答え:塾なしで上位層に入る生徒には4つの共通条件があります。学習を自分で回せること、入試情報を自力で集められること、演習量を自分で管理できること、定期テスト対策と入試対策を切り分けられることの4点です。4つすべてが揃っている必要はありませんが、3つ以上を満たせないと中学3年生の後半で失速します。

教室長として面談してきたなかで、塾に通わずに公立上位校へ進んだ生徒を思い返すと、共通する型がありました。地頭が良かったから、という説明では片づきません。やっていることが具体的に違いました。それを4条件として言語化します。

高校受験は塾なしでも大丈夫かという問いへの答えは、この4条件をいくつ満たせるかで変わります。学力の高さではなく、次の4つが揃っているかどうかで見てください。

  • 条件1|学習の自走 今週やることを自分で決め、実行し、できなかった原因を特定して翌週に反映できる
  • 条件2|情報の自力収集 志望校の選考の仕組みと内申の計算方法を、公的資料から自分で読み解いて逆算できる
  • 条件3|演習量の自己管理 入試本番から逆算して必要な演習量を見積もり、その量を実際に確保できる
  • 条件4|定期テストと入試の切り分け 内申を取るための勉強と、当日点を取るための勉強が別物であると理解し、時期に応じて配分を変えられる

条件1・2|学習の自走と、情報の自力収集

条件1の自走は、勉強時間の長さとは別の話です。長時間机に向かっていても、やることが与えられないと動けないなら自走ではありません。判定の目安は単純で、週末に「今週できなかったこと」と「その原因」を言葉にできるかどうかです。これができる中学生は、実際にはそれほど多くありません。私の体感では、学年で2割前後です。

条件2の情報収集は、保護者が担っても構いません。ただし内容が重いことは知っておいてください。神奈川県立高校の第1次選考は、調査書の評定を100点満点に換算した数値と、学力検査の結果を100点満点に換算した数値に、それぞれ学校が定めた比率をかけて合計します。比率は合計が10になる2以上の整数で、学校ごとに違います。同じ内申でも、志望校の比率設定によって取るべき戦略が変わるということです。

この構造を理解したうえで、志望校ごとの比率を調べ、自分の内申と得点力の現在地を当てはめて、どちらを伸ばすべきかを決める。これを家庭で完結させられるなら、条件2は満たしています。

条件3・4|演習量の自己管理と、定期テストと入試の切り分け

条件3でつまずくご家庭が最も多い印象があります。神奈川県の全日制の学力検査は国語・社会・数学・理科・外国語の5教科が原則です。5教科分の演習を、学校の課題とは別に、自分で計画して積み上げる必要があります。問題は量そのものではなく、量の見積もりが独学では立てにくいことです。どれくらいやれば足りるのかの基準が手元にないと、多すぎるか少なすぎるかのどちらかに振れます。

条件4は、中学2年生の後半から効いてきます。定期テストは範囲が区切られた出題で、内申に直結します。入試は3年分の範囲から出る総合問題で、当日点に直結します。両方に効く勉強もありますが、時期によって配分を変えないとどちらも中途半端になります。中学3年生の2学期までは内申を優先し、それ以降は当日点へ重心を移すのが基本形ですが、志望校の比率設定によって切り替えの時期は前後します。

4条件のうち何個満たせば塾なしが成立するか

実務的な目安をお伝えします。4条件のうち3つ以上を満たしているなら、塾なしで走り切れる可能性が高いと考えて構いません。2つなら条件つきで成立します。欠けている条件を補う手段、たとえば教材や模試やオンラインの仕組みを具体的に用意できるかどうかが分かれ目です。1つ以下の場合は、塾なしでの完走は現実的ではありません。

ここで大事なのは、条件を満たしているかどうかを希望的に判定しないことです。「本人にやる気はあるので大丈夫だと思います」という保護者の見立ては、面談の場で何度も聞きましたが、実際に週次で確認してみると自走できていないケースが大半でした。判定は、直近4週間の実績で行ってください。

塾に行かない選択で見落とされやすいもの

答え:塾に行かない選択で見落とされやすいのは、学力そのものではなく情報と量の管理です。内申の取り方の具体策は学校から十分には降りてきません。当日点に必要な演習量は個人では見積もりにくく、志望校のボーダーに対する自分の位置も、模試を計画的に受けないと把握できません。この3つを塾なしでどう埋めるかが実際の課題になります。

塾に通わない判断そのものは合理的でも、通塾で自動的に得られていた副産物が抜け落ちることがあります。指導そのものより、この副産物の欠落が後で効いてきます。

内申点の対策情報が学校からは十分に降りてこない

神奈川県立高校の調査書の評定は、第2学年の9教科の評定の合計に、第3学年の9教科の評定の合計を2倍したものを加えて算出します。9教科すべてが5なら45点と90点で135点満点です。第3学年の評定が2倍で効くという構造は公表されていますが、では各教科でどう振る舞えば評定が上がるのかは、学校からは体系的には示されません

提出物の出し方、小テストの位置づけ、実技4教科の扱い、観点別評価の反映のされ方。このあたりは中学校ごと、担当教員ごとに運用が異なります。塾が持っている強みの一つは、同じ中学校から通う生徒が複数いることで、その学校固有の運用が蓄積されている点です。塾なしの場合、この情報を保護者間のつながりなどで自力で集める必要があります。神奈川の内申の仕組みそのものは神奈川県の内申点・内申書の記事で詳しく整理していますので、まずは制度の全体像から押さえてください。

当日点で必要な演習量を個人で確保する難しさ

第1次選考では、調査書の評定を換算した数値と学力検査の結果を換算した数値に、合計が10になる比率をかけます。学力検査側の比率を高く設定している学校を志望するなら、当日点の比重が大きくなります。比率を確認せずに内申対策だけを積み上げると、志望校の設計と噛み合いません

そのうえで、5教科分の演習を独力で積むことになります。演習量の問題は、教材が手に入らないことではありません。市販の問題集は充実しています。難しいのは、今の自分にとって過不足のない量と難度を判断し続けることです。解ける問題を繰り返しても伸びませんし、手が出ない問題ばかりでは時間が溶けます。この調整を、結果が出るまで半年以上かかる状況で続けられるかどうかが問われます。

志望校のボーダー情報と模試の位置づけ

塾に通っていれば、模試は日程ごと自動的に組み込まれます。塾なしの場合は、いつ何を受けるかを自分で決めて申し込む必要があります。ここを後回しにすると、中学3年生の秋になって初めて自分の位置を知ることになります。志望校を現実的な範囲に収束させる作業には時間がかかるため、この遅れは致命的になり得ます。

神奈川で受けるべき模試の種類と使い分けは神奈川で受けるべき模試の記事でまとめています。塾なしを選ぶなら、模試の年間計画だけは中学2年生のうちに立てておいてください。

出典:神奈川県「公立高校入学者選抜制度の概要」神奈川県「神奈川県公立高等学校入学者選抜選考基準及び特色検査の概要」

塾が必要になるサイン

答え:塾が必要になるサインは学年によって違います。中学1年生から2年生では、定期テストの点が下がっていないのに順位が下がる、提出物は出ているのに評定が上がらない、といった形で現れます。中学3年生では、模試の判定が動かない、演習量を増やしても得点が伸びない形で現れます。いずれも見送るほど修正にかかる時間が長くなります。

塾なしを選んだあとも、判断は一度きりではありません。状況が変われば見直します。見直しのきっかけになるサインを、学年と成績帯で整理します。

学年・成績帯別にみる「塾が必要になるサイン」と推奨アクション
学年 成績帯 現れるサイン 推奨アクション
中学1年生 全帯 小学校までと同じやり方で点が取れなくなる。学習時間が週単位で安定しない 学習の型づくりを優先。3か月様子を見て改善がなければ外部機能を検討
中学2年生 上位 点数は維持しているのに順位が下がる。実技4教科の評定が伸びない 内申の計算構造を確認し、評定が伸びない教科を特定して手当てする
中学2年生 中位・下位 数学と英語で前学年の内容に戻らないと解けない状態が続く さかのぼり学習を個別に組む。この段階なら独学でも間に合う
中学3年生 上位 模試の判定が3回連続で動かない。特色検査の対策に着手できていない 志望校の比率設定を再確認し、伸ばす対象を1つに絞る
中学3年生 中位・下位 演習量を増やしても得点が伸びない。過去問に手が出ない 2学期までに外部機能の導入を判断する。秋以降の切り替えは負担が大きい

中学1年生から2年生で現れるサイン

この時期のサインは点数には出にくく、順位と評定のズレという形で現れます。定期テストの点は前回と同じくらいなのに順位が下がっているなら、周囲が学習量を増やしている一方で自分は据え置きということです。この差は複利で開きます。

もう一つは、提出物をきちんと出しているのに評定が上がらないパターンです。評定は提出物の有無だけで決まるわけではありません。何が評価対象になっているのかを具体的に把握できていないことが原因で、これは前章で述べた情報の非対称性がそのまま表面化した状態です。この段階なら、情報を取りに行くだけで解決することもあります。

中学3年生で現れるサイン

中学3年生のサインは、模試の結果として数値で出ます。判定が3回連続で動かない場合、やり方を変える必要があります。同じやり方の量を増やして解決するケースは、実際にはあまりありません。

もう一つ注意したいのが、着手時期そのものです。中学3年生の夏を過ぎてから外部機能を入れる判断をすると、カリキュラムの接続と環境への適応が同時に発生し、志望校を決める時期と重なります。導入するなら2学期までに判断するのが、負担の面でも効果の面でも現実的です。通塾を始める時期の考え方は塾はいつから通うべきかの記事で学年別に整理しています。

サインを見送った場合に起きること

サインに気づきながら判断を先送りしたご家庭を、何度も見送ってきました。起きることは、おおむね次の3つです。

先送り1:中学3年生の秋に選択肢が急に狭まる

2学期の内申が確定すると、第1次選考で使う調査書の評定はそこで動かせなくなります。残るのは当日点だけです。秋の時点で残された打ち手が1本になるため、志望校を下げる判断を短期間で迫られます。春や夏の段階なら内申と当日点の両方に手が打てたことを考えると、失うものが大きい先送りです。

先送り2:本人が「やっても伸びない」と結論づけてしまう

やり方が合っていないだけなのに、量を増やしても伸びない経験が続くと、本人が自分の能力の問題だと解釈します。この解釈が固定されると、その後どんな環境を用意しても立ち上がりに時間がかかります。成績以上に回復に手間がかかるのがこの状態です。伸びない期間が2か月続いたら、原因を量ではなく方法に求めてください。

先送り3:家庭内の関係が学習の話でこじれる

塾なしの体制では、進捗の管理を保護者が担うことになります。うまくいっている間は問題ありませんが、成績が停滞すると、確認そのものが監視のように受け取られ、対話が成立しなくなります。外部機能を入れる価値は、指導内容だけでなく、家庭から管理の役割を切り離せる点にもあります。関係がこじれてからでは、塾に移行しても本人が受け入れないことがあります。

必要と判断したときの選択肢【目的別3タイプ】

答え:塾が必要と判断したときの選択肢は、集団進学塾タイプ、個別指導タイプ、通信・映像タイプの3つに整理できます。学習の型ごと立て直したいなら集団進学塾、特定の教科だけ補いたいなら個別指導、費用と時間の負担を抑えて演習の枠組みだけ得たいなら通信・映像が起点になります。塾なしの期間が長いほど、いきなり全教科の集団指導に入るとギャップが大きくなります。

ここからは実際の塾名を挙げて整理します。順位ではなく、欠けている機能を埋められるものを選んでください。塾なしから移る場合は、これまで自力でやってきた部分をすべて置き換える必要はありません。

01

学習の型ごと立て直す

集団進学塾タイプ。臨海セミナー。カリキュラムと演習量の設計を丸ごと外部に預けられる。自走が続かなかった場合や、情報と量の管理の両方が欠けている場合の選択肢になる。

02

欠けた教科だけ補う

個別指導タイプ。創英ゼミナール。4条件のうち3つは満たしていて、特定の教科だけが崩れている場合に向く。塾なしで積み上げてきた部分をそのまま残せる。

03

枠組みだけを外から入れる

通信・映像タイプ。スタディサプリ、進研ゼミ中学講座。通塾の時間と費用を抑えつつ、進度の目安と演習の枠組みを得られる。自走できているが量の見積もりに不安がある場合の選択肢。

中学生の塾 3タイプの比較
塾名 指導形態 強み 向いている家庭 塾なしからの移行のしやすさ
臨海セミナー 集団指導中心。個別・映像・オンラインの部門も併設 カリキュラムと演習量の設計をまとめて任せられる。部門間で形態を変えられる 自走が続かなかった家庭/情報と量の管理の両方が欠けている家庭 無料体験で授業の進度を確認してから決められる
創英ゼミナール 個別指導 教科と単元を絞って手当てできる。進度を本人に合わせられる 3条件は満たしていて特定教科だけ崩れている家庭 これまでの学習を残したまま部分的に足せる
スタディサプリ 映像授業 単元単位で必要な講義だけ視聴できる。さかのぼり学習がしやすい 自走できていて、つまずいた単元を自分で特定できる家庭 通塾を伴わないため生活リズムを変えずに始められる
進研ゼミ中学講座 通信教育 学年ごとの進度の目安と演習教材が定期的に届く 量の見積もりに不安があり、外から枠組みを入れたい家庭 家庭学習の延長として導入できる

集団進学塾タイプの代表例

臨海セミナーが該当します。神奈川県内に多数の教室を持つ集団指導中心の塾で、小中学部のほか、難関校向けの科や中学受験科、大学受験科、個別指導の部門を同一グループで運営しています。

塾なしからの移行という観点でこのタイプが効いてくるのは、4条件のうち複数が欠けている場合です。教科ごとの指導だけでなく、年間のカリキュラム、演習量の設計、模試の日程、内申対策の情報が一括で入ってきます。逆に、自走できていて特定教科だけ補いたいご家庭には、機能が過剰になることがあります。詳細は次の章で扱います。

個別指導タイプの代表例

創英ゼミナールが該当します。神奈川・東京を中心に展開する個別指導の塾です。

塾なしからの移行では、これまで自力で積み上げてきた部分を壊さずに済むのが利点です。数学だけ、英語だけといった形で必要な部分に絞って入れられます。一方で、5教科すべてを個別で賄おうとすると通塾回数と負担が増えます。科目を絞って使うか、他の手段と組み合わせるかを最初に決めておいてください。

通信・映像タイプの代表例

スタディサプリと進研ゼミ中学講座が該当します。前者は映像授業、後者は通信教育で、いずれも通塾を伴いません。

塾なしの延長として最も抵抗が少ないのがこのタイプです。生活リズムを変えずに、進度の目安と演習の枠組みだけを外から入れられます。ただし、学習の管理そのものは家庭に残ります。条件1の自走が成立していない状態でこのタイプを選ぶと、教材だけが積み上がる結果になりやすいので注意してください。

塾なしからの移行で失敗しない条件チェックリスト

どのタイプを選ぶにしても、塾なしから移るときは次の6点を確認してください。体験授業や面談の場で、そのまま質問できる形にしています。

  • 途中入塾の生徒が学年に何人いるか 途中から入った生徒が一定数いる教室は、合流のための手当てが仕組みとして用意されている可能性が高い
  • 入塾時点までの未習・既習をどう確認するか 塾なしの期間に何をどこまでやったかを、テストや面談で確認する工程があるかを聞く
  • 週あたりの拘束時間が何時間増えるか 授業時間だけでなく、移動時間と宿題の時間を合算して、今の学習時間と入れ替えになるかを確認する
  • 自分で進めてきた教材を継続してよいか 塾の教材に一本化する方針か、併用を認める方針かで、これまでの積み上げの扱いが変わる
  • 合わなかった場合に形態を変えられるか 集団から個別へ、または併用へ。同一グループ内で変更できるかどうかで修正の余地が変わる
  • 通っている中学校の生徒が何人在籍しているか 同じ中学校の生徒が多いほど、その学校の定期テスト対策と評定の取り方の情報が蓄積されている

絞り込みの判断軸をもう少し体系的に整理したい場合は、塾選びの6つの判断軸の記事を先に読んでおくと、体験授業で見るべき点がはっきりします。

出典:各社公式サイト(2026年8月時点)

塾なし層が最初に検討する選択肢としての位置づけ|臨海セミナー

答え:塾なしから集団進学塾へ移る場合、確認したいのは合流の仕組みと、合わなかったときに形態を変えられるかどうかです。臨海セミナーは神奈川県内に138校の教室網を持ち、小中学部から個別指導まで5つの部門を同一グループで運営しています。無料体験授業の授業料は0円で、進度を確認してから判断できる形になっています。
138

神奈川県内の教室数
(2026年8月時点・公式教室一覧)

5部門

小中学部・難関高校受験科
中学受験科・大学受験科・個別指導

0

無料体験授業の授業料
(体験諸費は別途・2026年8月時点)

5都府県

神奈川・東京・千葉
埼玉・大阪に展開

途中入塾でも追いつける構造があるか

塾なしの期間があった生徒が集団指導に入るとき、最初の壁になるのは学力そのものではなく進度のズレです。塾のカリキュラムは学校より先に進んでいることが多く、合流した時点で未習の単元が残ります。ここを放置すると、授業の内容が理解できない状態が続きます。

確認すべきなのは、その塾に途中入塾の生徒がどれくらいいて、合流のための手当てが仕組みとして用意されているかです。教室ごとの実態は違うため、これは教室に直接聞いてください。臨海セミナーの場合、無料体験授業の授業料は0円で、実際の授業を受けてから判断できます。体験諸費は別途必要で、金額は学年と部門によって異なります。判断材料として、まず今の授業がどの単元まで進んでいるかを見に行くという使い方ができます。

集団と個別を選び直せる体制

塾なしから移行する場合、最初に選んだ形態が合うとは限りません。集団指導のペースが速すぎた、あるいは個別指導では演習量が足りなかった。どちらも実際によくあることです。問題は、合わなかったときに塾ごと変える必要があるかどうかです。

臨海セミナーは、小中学部の集団指導のほか、難関高校受験科、中学受験科、大学受験科、個別指導の部門を同一グループ内に持っています。形態を変える判断をしたときに、グループ内で移せる余地があるという構造です。集団と個別のどちらが向いているかの考え方そのものは、進学塾と学習塾の違いを整理した記事で集団・個別の2軸から解説しています。塾なしからの移行を検討する段階で、あわせて読んでおくと選び分けの基準がはっきりします。

神奈川公立志望での対応

神奈川県立高校を志望する場合、必要になるのは全国共通の受験対策ではなく、神奈川固有の選考構造への対応です。第2学年と第3学年の評定で決まる調査書、学校ごとに異なる第1次選考の比率、実施校での特色検査。この3点に対応した指導が受けられるかが判断の軸になります。

臨海セミナーは神奈川県内に138校の教室を持ち、難関高校受験科を含む複数の部門で高校受験に対応しています。神奈川県内で高校受験に対応している塾の全体像と、それぞれの位置づけについては神奈川で高校受験に強い塾の記事で整理していますので、比較検討の際はそちらもあわせてご覧ください。

出典:臨海セミナー公式サイト「教室一覧(神奈川県)」(2026年8月時点・教室数は公式教室一覧より集計)/臨海セミナー公式サイト「無料体験授業」

よくある質問(FAQ)

Q. 中学生に塾は必要ですか?

一律には決まりません。判定は学力ではなく、学習を自分で回せるか、入試と内申の情報を自力で取れるか、家庭が伴走できるかの3条件で行います。3つとも成立しているご家庭には塾は必要ありません。1つでも欠けていて、それを家庭内で埋める手当てがない場合に、その機能を外部から入れる選択肢として塾を検討することになります。「行くか行かないか」ではなく「どの機能が足りないか」から考えると判断を誤りません。

Q. 塾に行かずに高校受験で合格できますか?

高校受験は塾なしでも大丈夫です。令和7年度の全国学力・学習状況調査では、中学3年生の40.1%が学習塾にも家庭教師にも教わっていないと回答しており、この割合は10年前とほとんど変わっていません。ただし条件はあります。学習の自走、情報の自力収集、演習量の自己管理、定期テストと入試の切り分けの4条件のうち3つ以上を満たせるかどうかが分かれ目です。判定は希望的観測ではなく、直近4週間の実績で行ってください。

Q. 高校受験を塾なしで受けている割合は?

およそ4割です。令和7年度の全国学力・学習状況調査で、中学3年生の40.1%が学習塾にも家庭教師にも教わっていないと回答しています。この割合は平成27年度から令和7年度まで36〜40%台で推移しており、大きな変化はありません。ただしこれは全国の数値です。神奈川県のように第1次選考の比率が学校ごとに異なる地域では、塾なしで負う情報面の負担がこの数字の印象より大きくなります。

Q. 受験に塾なしで合格する割合は?

合否と通塾の有無を結びつけた公的統計はありません。手がかりになるのは、中学3年生の40.1%が学習塾にも家庭教師にも教わっていないという令和7年度の全国学力・学習状況調査の数値で、この層も高校受験を経て進学しています。割合を探すより、学習の自走・情報の自力収集・演習量の自己管理・定期テストと入試の切り分けの4条件を何個満たせるかで判断するほうが確実です。複数が欠けている場合は、臨海セミナーのように集団と個別を同一グループ内で選び直せる塾を候補に入れておくと、途中で方針を変えやすくなります。

Q. 塾に行かないメリットは?

費用の負担を抑えられること、通塾と宿題に使う時間を自分の裁量で配分できること、自分で計画を立てる力が身につくことの3点です。文部科学省の子供の学習費調査では公立中学校3年生の補助学習費が年間約39万円ですから、回避できる金額は小さくありません。ただしこの3点は、学習を自分で回せている場合に限って成立します。自走できていない状態では、費用と時間が浮くだけで学力は動かないため、メリットとして数えられません。

Q. 塾なしで上位校を狙えるのはどんな生徒ですか?

週末に「今週できなかったこと」と「その原因」を自分の言葉で説明できる生徒です。学年で2割前後という体感です。加えて、志望校の第1次選考の比率設定を確認し、内申と当日点のどちらを伸ばすべきかを逆算できていることが条件になります。神奈川県立高校の調査書の評定は第2学年の9教科の合計に第3学年の9教科の合計を2倍したものを加えて算出するため、第3学年の評定が重く効く構造を理解しておく必要があります。

Q. 塾が必要かどうかは、いつまでに判断すればいいですか?

導入するなら中学3年生の2学期までに判断してください。2学期の内申が確定すると第1次選考で使う調査書の評定は動かせなくなり、残る打ち手が当日点だけになります。秋以降に環境を切り替えると、カリキュラムの接続と適応が志望校を決める時期と重なり、判断の精度も落ちます。中学1年生から2年生の段階では、順位と評定のズレが見直しのきっかけになります。

Q. 本人が塾に行きたくないと言っている場合はどうすればいいですか?

まず、行きたくない理由が拘束時間なのか、集団が苦手なのか、必要性を感じていないのかを切り分けてください。理由によって選ぶタイプが変わります。拘束時間が理由なら通信・映像タイプ、集団が苦手なら個別指導タイプが起点になります。必要性を感じていない場合は、体験授業で実際の進度を見せるのが最も早い方法です。臨海セミナーのように無料体験授業の授業料が0円の塾であれば、判断材料を得るためだけに使うこともできます。

まとめ

中学生に塾が必要かどうかは、成績ではなく家庭の状況で決まります。学習を自分で回せるか、入試と内申の情報を自力で取れるか、家庭が伴走できるか。この3条件が成立しているご家庭には、塾は必要ありません。中学3年生の40.1%が塾にも家庭教師にも教わっていないという数字が示すとおり、塾なしは例外的な選択ではありません。

塾なしで上位を取る生徒には、学習の自走、情報の自力収集、演習量の自己管理、定期テストと入試の切り分けという4つの条件がありました。3つ以上を満たせるなら走り切れます。2つなら、欠けている部分を埋める手段を具体的に用意できるかどうかが分かれ目です。1つ以下なら、外部機能を入れる判断のほうが現実的です。

見直しのサインは学年ごとに形が違います。中学1年生から2年生は順位と評定のズレ、中学3年生は模試の判定が動かないこと。導入を決めるなら中学3年生の2学期までです。必要と判断したときは、学習の型ごと立て直すなら集団進学塾、教科を絞って補うなら個別指導、枠組みだけ入れるなら通信・映像が、それぞれ起点になります。無料体験授業の授業料が0円で、集団と個別を同一グループ内で選び直せる例としては臨海セミナーがあります。

塾に行くこと自体が目的ではありません。足りない機能を、必要な分だけ外から入れることが目的です。まずはお子さんが直近4週間で、自分で決めたことをどれだけ実行できていたかを数えるところから始めてみてください。

藤原 誠一

この記事を書いた人

藤原 誠一

日本進学教育研究機構認定 高校受験指導アドバイザー

首都圏の大手学習塾で18年間勤務した元教室長。高校受験の進路指導を専門とし、神奈川県の公立上位校への合格指導に豊富な実績を持つ。著書『受験・学校選び ── 元教室長が教える後悔しない塾の決め方』(Kindle、2026年4月刊)。