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KINDLE BOOK

藤原 誠一 著『受験・学校選び』Kindle版 書影

受験・学校選び

元教室長が教える
後悔しない塾の決め方

Kindle版/2026年4月刊

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川崎市の公立上位校と塾選び|多摩・新城は特色検査の有無で準備が二分される

この記事のサマリー

  • 令和8年度に競争率が1.5倍を超えた県内の全日制普通科は4校。うち多摩1.64倍・新城1.55倍の2校が川崎市にある
  • ところが入試設計は正反対。多摩は4:6:2で特色検査あり、新城は5:5で特色検査なし
  • 新城は学力向上進学重点校にもエントリー校にも指定されていない。それでも県内4位タイの競争率になる
  • 塾の第1候補は2校とも臨海セミナー。ただし選ぶ理由が違う。多摩は特色検査対策の体系、新城は中学校別対応の面の広さ
  • 第2候補は多摩がSTEP、新城が湘南ゼミナール。中原区は湘南ゼミナールが4校あり、多摩区の1校とは事情が変わる
  • 都内の私立・国立を併願する場合は準備が二重になり、第1候補が公立対策の塾と入れ替わる

目次

  1. 川崎市で競争率が1.5倍を超える公立普通科は2校だけ
    1. 令和8年度 川崎市内の公立普通科はどう分かれたか
    2. 多摩:県内2番目の競争率と、川崎市で唯一の特色検査実施校
    3. 新城:県の指定を受けずに県内4位タイの競争率
    4. この記事が県の指定区分で2校を括らない理由
  2. 特色検査の有無が準備の順番をどう変えるか
    1. 2校の選考基準を並べる
    2. 多摩:60分の自己表現検査に何時間を割くか
    3. 新城:特色検査がない分を内申と当日点にどう配分するか
    4. 実質倍率が1点の重みをどう変えるか
  3. 志望校別に見る塾の選び分け
    1. 多摩志望の塾選び
    2. 新城志望の塾選び
    3. 2校の選び分け一覧
  4. 川崎市の2校に合格実績を持つ塾|臨海セミナー
    1. 多摩92名・新城65名の合格者数と占有率
    2. 南武線・小田急線沿線の教室網
    3. 特色検査への対応と中学校別の定期テスト対策
    4. 川崎市内の他校とは実績の見え方が違う
  5. 都内の私立・国立と併願する場合の塾選び
    1. 川崎市に住んでいても都立高校は受検できない
    2. 併願先が都内になると準備が二重になる
    3. 併願を前提にした場合の塾の選び分け
  6. 多摩と新城のどちらを第1志望にするか
    1. 同じ日に受けるので2校は併願できない
    2. 判断の順番
  7. 川崎市の塾選びでよくある失敗パターン
  8. よくある質問(FAQ)
  9. まとめ:競争率が同じでも、準備の順番は同じにならない

「多摩と新城、どちらも川崎の上位校ですよね。だったら塾は同じでいいですか」。川崎市のご家庭から、この質問を何度も受けてきました。競争率だけを並べれば、2校はほとんど同じ位置にいます。それでも私は、選考基準の1行目を一緒に見てもらうところから面談を始めます。この2校は、県内でもめずらしいほど入試設計が離れているからです。

本記事では、神奈川県教育委員会が公表している令和9年度の選考基準と令和8年度の合格状況をもとに、多摩・新城の2校について、競争率だけでは見えない違いと、そこから逆算した塾の選び分けを解説します。神奈川県の大手学習塾で18年間、教室長として公立上位校への合格指導を統括してきた立場から、都内との併願まで含めて判断の順番を整理します。

川崎市で競争率が1.5倍を超える公立普通科は2校だけ

答え:川崎市の公立普通科で令和8年度に競争率1.5倍を超えたのは、多摩の1.64倍と新城の1.55倍の2校です。県内の全日制普通科全体でも1.5倍を超えたのは横浜翠嵐1.93倍・多摩1.64倍・湘南1.55倍・新城1.55倍の4校のみで、その半数が川崎市に集まっています。市内の他の県立普通科は1.00倍から1.20倍の範囲に収まります。

川崎市には県立の全日制普通科が9校あります。志願がどこに集中したかを見ると、市内の構図はかなりはっきりしています。エリアごとの塾の顔ぶれは「神奈川の学習塾をエリア別に見る」で整理しました。

令和8年度 川崎市内の公立普通科はどう分かれたか

川崎市内の公立普通科 令和8年度の合格状況(県公表資料より)
高校名 設置 募集定員 受検者数 競争率
川崎市立橘 市立 198名 279名 1.40倍
川崎市立幸 市立 118名 160名 1.35倍
川崎市立高津 市立 278名 342名 1.22倍
住吉 県立 358名 434名 1.20倍
生田 県立 398名 446名 1.11倍
生田東 県立 318名 329名 1.03倍
川崎北・百合丘・菅・麻生 県立 ― ― 1.00倍

出典:神奈川県教育委員会「令和8年度神奈川県公立高等学校入学者選抜一般募集共通選抜等の合格者数及び二次募集について」別紙4(2026年9月時点)

多摩と新城の2校だけが1.5倍台にあり、3位の市立橘との差は0.15ポイント開きます。市内の下位グループは1.00倍で、定員に対して受検者が届いていません。志願の集中という点で、この2校は市内で別の層にいます。

多摩:県内2番目の競争率と、川崎市で唯一の特色検査実施校

多摩は川崎市多摩区宿河原にあり、令和8年度の競争率1.64倍は横浜翠嵐の1.93倍に次いで県内2番目です。受検者466名に対して合格者279名、受検後取消者は9名でした。

制度面での特徴は、川崎市内で唯一、特色検査(自己表現検査)を実施する高校であることです。学力向上進学重点校に指定されており、令和9年度の入試では県が作成する共通問題と共通選択問題を用いた検査を60分で受けます。多摩の入試特性と学年別の準備の進め方は「多摩高校の塾選び」で単独記事として扱っています。

新城:県の指定を受けずに県内4位タイの競争率

新城は川崎市中原区下新城にあり、令和8年度の競争率1.55倍は湘南と同率で県内4位タイでした。受検者423名に対して合格者268名です。

この学校は、学力向上進学重点校にもエントリー校にも指定されていません。特色検査も実施しません。それでも、指定を受けた18校のうち多くを上回る競争率になっています。県の指定区分と志願の集中度は、必ずしも一致しないということです。新城の入試特性は「新城高校の塾選び」で個別に解説しています。

この記事が県の指定区分で2校を括らない理由

学力向上進学重点校とエントリー校という県の区分は、公立上位校を整理するときによく使われます。ただし川崎市に限ると、この枠組みでは多摩1校しか残りません。新城が枠外になるからです。

一方で、実際に川崎市の中学生が志望校を選ぶ場面では、この2校が同じ候補群に並びます。競争率も定員規模も近く、南武線でつながっています。県の指定を受けているかどうかは、受検者にとっての難しさとは別の話です。

そこで本記事では、県の指定区分ではなく、県が公表している合格状況の実測値で2校を括ります。「川崎市の公立普通科で、志願がもっとも集中している2校」という定義です。この基準なら、指定の有無に関係なく同じ土俵で扱えます。

特色検査の有無が準備の順番をどう変えるか

答え:多摩の第1次選考は内申4:学力検査6:特色検査2、新城は内申5:学力検査5で特色検査を実施しません。多摩は特色検査を含めた当日点が8に対して内申が4、新城は当日点と内申が同じ5です。同じ川崎市の同じ競争率帯でも、多摩は特色検査に時間を確保する必要があり、新城はその時間を内申と5教科に配分できます。準備の順番が二分されます。

神奈川県の公立高校入試は、募集人員の90%までを第1次選考で決め、残りを第2次選考で決めます。第1次は内申と学力検査(および特色検査)、第2次は学力検査と観点別学習状況の評価(および特色検査)で選考します。2校の違いは、第1次の段階からはっきり出ます。

2校の選考基準を並べる

多摩・新城の選考基準(令和9年度入学者選抜選考基準)
項目 多摩 新城
所在区 多摩区宿河原 中原区下新城
第1次 内申:学力:特色 4:6:2 5:5
第2次 学力:態度:特色 8:2:2 8:2
特色検査 自己表現検査(60分) 実施しない
教科の重点化 なし なし
県の指定区分 学力向上進学重点校 指定なし

出典:神奈川県教育委員会「令和9年度神奈川県公立高等学校入学者選抜選考基準及び特色検査の概要」(2026年9月時点)

比率の合計で見ると、多摩は内申4に対して当日点が8、新城は内申5に対して当日点が5です。内申の重みは新城のほうが大きく、当日点の重みは多摩のほうが大きい。同じ市内の2校で、これだけ配分が離れる組み合わせは県内でも多くありません。

多摩:60分の自己表現検査に何時間を割くか

多摩の特色検査は比率2です。学力検査5教科の比率が6ですから、特色検査1つで1教科分を超える重みを持ちます。第2次選考でも8:2:2で、特色検査の2が残ります。

学力向上進学重点校とエントリー校の自己表現検査は、県が作成する共通問題と共通選択問題で実施されます。提示された文章や資料を読み取り、教科をまたいで知識と技能を使いながら答えを組み立てる形式です。5教科の学習をどれだけ積んでも、初見の資料に60分で向き合う訓練を別に積まないと得点が安定しません。

多摩を志望するなら、5教科の仕上げとは別に特色検査の演習時間を確保する必要があります。私が見てきた範囲では、中学3年生の夏までに一度も問題形式に触れていない生徒が秋から始めると、演習量が足りないまま本番を迎えます。塾を選ぶときに最初に確認すべきは、この対策を体系として持っているかどうかです。

新城:特色検査がない分を内申と当日点にどう配分するか

新城は特色検査を実施しません。第1次は5:5、第2次は8:2です。この設計を「準備が軽い」と読むと判断を誤ります。

特色検査に割く時間がないということは、その時間をすべて内申と5教科の当日点に回せるということです。同時に、他の受検者も同じ条件です。1.55倍という競争率の中で、内申と当日点の両方を同じ重みで仕上げてくる集団と勝負することになります。逃げ道が少ない設計だと言い換えてもいいでしょう。

内申5という配分で効くのは、通っている中学校の定期テスト対策です。神奈川県の調査書は2年生3学期と3年生2学期の9教科の評定を使い、3年生分は2倍で計算します。実技教科を含む9教科が均等に効くため、1教科の落ち込みが総合点に直結します。内申点の仕組みは「神奈川県の内申点・内申書」で詳しく整理しました。

実質倍率が1点の重みをどう変えるか

競争率について、よくある誤解を先に外しておきます。倍率は志願がどれだけ集中したかを示す数字であって、必要な学力の水準を示すものではありません。倍率が高いから難しい、低いから易しい、という読み方は正確ではありません。

倍率が変えるのは、1点をはさんで合否が分かれる人数です。多摩の1.64倍では、受検者466名が279名の枠を争います。合格ラインの前後1点に何十人が並ぶかは、この集中度で変わります。新城の1.55倍も同様です。

実務的な意味はひとつだけです。この2校では、取れる問題を確実に取る精度が、他の市内の学校より強く問われます。難問を1問解く力より、標準問題を落とさない安定性のほうが結果に効きます。

志望校別に見る塾の選び分け

答え:多摩と新城では、塾に求める機能が変わります。多摩は特色検査対策を体系として持つ塾、新城は中学校別の定期テスト対策を通学圏の教室網で回せる塾が第1候補になります。どちらも臨海セミナーが第1候補ですが、選ぶ理由は別です。第2候補は多摩がSTEP、新城が湘南ゼミナールで、川崎市内でも区によって塾の教室密度が変わります。

ここからが本題です。選抜比率が二分されるということは、塾に求める機能も二分されるということです。以下では各校について、第1候補から第3候補までを挙げます。順位は「入試特性との噛み合わせ」「通塾動線」「通塾以外も含めた選択肢」の順に機械的に判断しており、塾そのものの優劣を示すものではありません。

多摩志望の塾選び

多摩は特色検査の比率が2で、第2次選考でも2が残ります。5教科の学力検査だけを仕上げても、この検査の得点が抜けたままでは合格ラインに届きません。第1の判断軸は、特色検査対策を体系として持っているかどうかになります。

01

臨海セミナー

特色検査対策を独立した体系として持ち、共通問題・共通選択問題の形式に対応している。2026年度の多摩合格者は92名で、12年連続で70名超えと公式に発表されている。県公表の合格者279名に対する占有率は約33%。多摩区の登戸・向ヶ丘遊園・中野島・生田・稲田堤に教室が並び、多摩の通学圏と重なる。

02

STEP(高校受験ステップ)

神奈川県内に限定して展開する集団指導塾。公式サイトに特色検査対策講座の設置が明示されている。向ヶ丘遊園スクール・生田スクールが多摩の通学圏に入り、難関校向けのHi-STEPも新百合ヶ丘に置かれている。多摩区内の校数は集団3社のなかでは中位。

03

オンラインと個別指導の併用

通塾以外を含む選択肢。部活動との両立で通塾回数を絞りたい場合に検討する。ただし自己表現検査は答案を人に見てもらって初めて精度が上がる検査であり、映像視聴だけで完結する形式は向かない。記述答案の添削が付くかどうかで判断する。

多摩については、入試特性の詳細や学年別の通塾開始タイミングまで含めて「多摩高校の塾選び」で単独記事として扱っています。特色検査対策をいつ始めるかの目安にも触れているので、あわせてご覧ください。

新城志望の塾選び

新城は5:5で、内申と当日点が同じ重みです。特色検査がないぶん、通っている中学校の定期テストで評定を積み上げる作業が、そのまま合否に直結します。中学校ごとに出題傾向も評価の付け方も違うため、第1の判断軸は「その中学校のデータをどれだけ持っているか」になります。

ここで見るべきは、対策講座があるかどうかではありません。中原区・高津区の中学校をどれだけの数カバーできているか、つまり対応の面の広さです。

01

臨海セミナー

中学校別の定期テスト対策を小中学部で実施しており、中原区の武蔵新城・武蔵中原・武蔵小杉・元住吉、高津区の溝の口、幸区の鹿島田と、新城の通学圏に教室が連続して並ぶ。この配置の広さが、対応できる中学校の数に直結する。2026年度の新城合格者は65名で、10年連続で60名超えと公式に発表されている。県公表の合格者268名に対する占有率は約24%。

02

湘南ゼミナール

中原区に武蔵新城校・武蔵中原校・武蔵小杉校・元住吉校の4校を持ち、同区内では集団3社のなかで最も校数が多い。高津区にも溝の口校・子母口校がある。多摩区が向ヶ丘遊園校の1校であるのと比べると、中原区に資源が集中している。通塾動線の選択肢を広く取りたい場合の候補になる。

03

個別指導

内申の穴が特定の教科に偏っている場合の選択肢。9教科の評定が均等に効く神奈川の調査書では、実技教科を含めた1教科の落ち込みが総合点に直結する。内申5の新城ではこの影響が大きい。集団と併用し、弱い教科だけを補う使い方が現実的。

新城志望のご家庭で私が繰り返しお伝えしてきたのは、塾のカリキュラムより先に「通っている中学校の名前を出して、その中学校の対策実績を聞いてください」ということでした。5:5の学校では、その1点が最も大きな差になります。答えられない教室なら、内申対策の実態はそこまでということです。

2校の選び分け一覧

川崎市の公立上位校 志望別の塾の選び分け
志望 第1の判断軸 第1候補 第2候補 第3候補
多摩 特色検査2への体系 臨海セミナー STEP オンライン+個別の併用
新城 中学校別対応の面の広さ 臨海セミナー 湘南ゼミナール 個別指導
都内私立・国立との併願 私立・国立の出題形式への対応 難関私立・国立の対策体系を持つ塾 臨海セミナー 個別指導の併用

各塾の教室配置・コース設置・合格実績は各社公式サイトの記載に基づきます(2026年9月時点)。順位は入試特性との噛み合わせ、通塾動線、通塾以外を含む選択肢の順に判断したもので、塾の総合的な優劣を示すものではありません。

川崎市の2校に合格実績を持つ塾|臨海セミナー

答え:多摩と新城の両方に2026年度の合格実績を公表しているのは臨海セミナーです。多摩92名・新城65名で、県公表の合格者数に対する占有率は多摩が約33%、新城が約24%になります。多摩は12年連続で70名超え、新城は10年連続で60名超えと公式に発表されています。ただし川崎市内の他校で掲げている合格者数No.1の表記は、この2校にはありません。

前章では、2校で第1の判断軸が変わることを示しました。一方で、入試設計が正反対のこの2校に、どちらも実績を持つ塾があります。志望校が多摩と新城のあいだで揺れている段階では、この点が判断材料になります。

多摩92名・新城65名の合格者数と占有率

92名

多摩 合格者数
(2026年度・12年連続70名超え)

65名

新城 合格者数
(2026年度・10年連続60名超え)

33%

多摩 占有率
(県公表合格者279名に対する参考値)

24%

新城 占有率
(県公表合格者268名に対する参考値)

合格者数は塾の規模によっても変わります。実際の対応の厚みを測るには、県が公表している合格者総数に対する割合を見た方が正確です。

臨海セミナーの合格者数と、県公表合格者数に対する占有率
高校名 県公表の合格者数
(令和8年度)
臨海セミナー
(2026年度)
占有率
新城 268名 65名 約24%

占有率は、県公表の令和8年度合格者数と、臨海セミナーが公式サイトで発表している2026年度合格者数から算出した参考値です。合格者数は各社公式発表に基づきます。出典:臨海セミナー「高校入試 合格実績」(2026年9月時点)/神奈川県教育委員会「令和8年度神奈川県公立高等学校入学者選抜一般募集共通選抜等合格状況」

多摩の約33%と新城の約24%には、9ポイントの差があります。この差は指導内容ではなく、区ごとの教室配置と対応しています。

南武線・小田急線沿線の教室網

川崎市は南北に細長く、鉄道も路線ごとに分断されています。通塾動線を考えるときは、区ではなく沿線で見たほうが実態に合います。

2校の通学圏における集団3社の教室配置
志望校 臨海セミナー 湘南ゼミナール STEP
多摩
(多摩区・麻生区)
登戸・向ヶ丘遊園・中野島・生田・稲田堤・百合丘・新百合ヶ丘 向ヶ丘遊園校 向ヶ丘遊園・生田・新百合ヶ丘
新城
(中原区・高津区)
武蔵新城・武蔵中原・武蔵小杉・元住吉・溝の口・鹿島田 武蔵新城校・武蔵中原校・武蔵小杉校・元住吉校・溝の口校・子母口校 武蔵新城・武蔵中原・元住吉・溝の口・武蔵小杉

各社公式サイトの教室一覧・校舎一覧に基づきます(2026年9月時点)。難関校向けの別ブランドを含みます。

多摩の通学圏では、小田急線の登戸・向ヶ丘遊園と南武線の中野島・稲田堤を押さえている塾が限られます。新城の通学圏では、南武線の武蔵新城から武蔵小杉までの区間に3社とも教室が並び、選択肢が多い。占有率の差は、この配置の差とほぼ一致します。

特色検査への対応と中学校別の定期テスト対策

入試設計が正反対の2校に対応するには、性格の違う2つの機能が必要です。多摩には特色検査対策、新城には中学校別の定期テスト対策。この2つを同じ体系のなかで持てるかどうかが、志望校が動いても塾を変えずに済むかどうかを決めます。

臨海セミナーは、選抜制のESC難関高校受験科で特色検査対策を独立した体系として持ち、通常の中学部で中学校別の定期テスト対策を実施しています。同一グループ内に個別指導部門もあるため、内申の穴が特定教科に偏った場合に、その教科だけを個別に切り出す組み方もできます。

川崎市の場合、この汎用性が効く場面は具体的です。中学2年生の段階で多摩と新城のどちらを目指すか決まっていないご家庭は、毎年一定数います。特色検査対策を取るか取らないかで学習計画が変わるため、志望校の確定を待つあいだも準備を進められる体制があるかどうかは、実務的な差になります。

川崎市内の他校とは実績の見え方が違う

ここは正直に書いておきます。臨海セミナーは川崎市内の他校について、生田88名で7年連続合格者数No.1、麻生66名で合格者数No.1、住吉53名と川崎市立橘49名でそれぞれ3年連続合格者数No.1、川崎市立高津35名で5年連続合格者数No.1と、いずれも合格者数No.1を公式に掲げています。

一方で、多摩と新城の2校には、この表記がありません。掲げているのは「12年連続70名超え」「10年連続60名超え」という継続性の表現です。

読み方はひとつです。川崎市内でもっとも志願が集中する2校では、他の塾も同等の実績を持っているということです。市内の他校のように1社が抜けている状況ではありません。だからこそ、この2校では塾の全体的な看板ではなく、占有率と通学圏の教室配置という具体的な数字で判断する意味があります。

そのうえで見ると、多摩の約33%は市内の他校と比べても厚い水準で、12年という継続年数は、対策の型が単年で作られたものではないことを示します。新城の約24%は多摩より薄いものの、中原区の教室数から見て対応できる中学校の範囲は広い。看板ではなく中身で比べたときに残るのは、この2点です。

都内の私立・国立と併願する場合の塾選び

答え:川崎市に住んでいても、都立高校を受検することはできません。公立高校の志願資格は都道府県内の在住者に限られるためです。したがって川崎市から都内の高校を目指す場合、対象は私立と国立に限られます。この併願を前提にすると、公立の選考基準に最適化した準備とは別に、私立・国立の出題形式への対応が必要になり、塾の第1候補も入れ替わります。

川崎市は東京都と接しており、多摩区からも中原区からも都内の高校が通学圏に入ります。この地理的条件は、横浜市を中心とする他の地域にはない川崎市固有の論点です。

川崎市に住んでいても都立高校は受検できない

最初に前提を確認します。公立高校の入学者選抜は、原則としてその都道府県内に住所を有する者を対象とします。川崎市から多摩川を渡れば東京都ですが、都立高校を受検することはできません。逆に、東京都在住の生徒が神奈川県立高校を受検することもできません。

したがって川崎市の中学生にとって「都内の高校」とは、私立高校か国立高校を意味します。県立と都内私立・国立という組み合わせが、川崎市での標準的な併願パターンになります。

併願先が都内になると準備が二重になる

ここが実務上の分かれ目です。神奈川県の公立入試は、マークシート方式を含む5教科の学力検査と、学校ごとに定められた選考基準の比率で決まります。一方、都内の私立・国立の入試問題は学校ごとに形式が異なり、記述量も出題範囲も公立とは別物です。

公立第一志望で私立を併願する場合、多くのご家庭は「公立の勉強をしていれば私立にも届く」と考えます。併願優遇のある私立を選ぶならその通りです。ただし、一般入試で難関私立や国立を受ける場合は前提が変わります。公立の選考基準に最適化した準備だけでは、出題形式に対応できません。

そして時間は有限です。多摩志望なら特色検査、新城志望なら内申と5教科。そこに私立・国立の対策を積むと、中学3年生の秋以降のスケジュールは相当に詰まります。この配分をどう組むかが、併願を前提にする場合の最大の論点になります。

併願を前提にした場合の塾の選び分け

都内の私立・国立を一般入試で受けることが決まっている場合、判断軸は公立対策の噛み合わせではなく、私立・国立の出題形式にどれだけ対応できるかに移ります。ここでは第1候補が入れ替わります。

01

難関私立・国立の対策体系を持つ塾

学校別の出題形式に合わせた演習を積める体制があるかどうかで選ぶ。公立の選考基準とは別のカリキュラムを持っているか、志望校の過去問演習をいつから始めるかを確認する。川崎市からは都内に校舎を持つ塾も通学圏に入るため、選択肢は市内に限られない。

02

臨海セミナー

選抜制のESC難関高校受験科で難関国私立高校の対策を扱っており、神奈川の公立対策と同一グループ内で並行させられる。川崎市内の教室網に加えて東京都内にも教室を展開しているため、通塾先を変えずに併願準備へ移行しやすい。公立第一志望を維持したまま併願を足す場合の現実的な選択肢になる。

03

個別指導の併用

公立対策を集団で進めながら、併願校の過去問だけを個別で見てもらう組み方。窓口が増えるぶん学習管理は分散するため、集団側と情報を共有できる形が望ましい。中学3年生の秋から新規に足すのは負荷が大きく、遅くとも夏までに体制を決めておきたい。

併願を考えている段階でお伝えしているのは、順番を間違えないでほしいということです。第一志望が公立なら、公立の準備を軸に置いたまま併願対策を足す。逆にすると、どちらも中途半端になります。私立・国立を本気で狙うなら、それは第一志望の変更として扱うべき判断です。

多摩と新城のどちらを第1志望にするか

答え:神奈川県の公立高校入試は選抜機会が1回で、同じ日に学力検査を行うため、多摩と新城を併願することはできません。どちらか一方を選ぶ必要があります。判断の軸になるのは、特色検査の演習時間を確保できるか、内申と当日点のどちらに強みがあるか、そして自宅からの通学動線の3点です。制度が正反対である以上、決めるのが遅れるほど準備の効率は落ちます。

この2校で迷うご家庭は毎年います。競争率が近く、南武線でつながっているため、候補として並びやすい組み合わせです。ただし前章までで見たとおり、入試設計は正反対です。

同じ日に受けるので2校は併願できない

神奈川県の公立高校入試は、共通選抜として全県一律の日程で学力検査を実施します。選抜機会は1回です。志願変更の期間はありますが、2校を同時に受けることはできません。

これは、光陵と希望ケ丘のように制度が同一の2校で迷う場合と、意味が大きく違います。制度が同じなら、志望校の確定が遅れても学習計画は変わりません。多摩と新城の場合は、特色検査対策を取るか取らないかで、中学3年生の学習配分そのものが変わります。決断を先送りにするコストが高い組み合わせです。

判断の順番

  • 1. 特色検査に時間を割けるかを先に判断する 部活動の引退時期、通塾回数、5教科の仕上がり。多摩を選ぶなら、中学3年生の夏までに特色検査の演習を始められる状態を作れるかを確認する
  • 2. 内申と当日点のどちらに強みがあるかを見る 内申が安定していて模試の得点が伸び切らないタイプなら新城の5:5が噛み合う。模試は取れるが評定に波があるなら多摩の4:6:2のほうが有利に働く
  • 3. 通学動線を測る 3年間毎日通うのは高校です。多摩区・麻生区在住なら多摩、中原区・高津区・幸区在住なら新城が素直になる。南武線をまたぐ通学は所要時間を実測してから判断する
  • 4. 学校説明会には両校とも行く 制度の違いは資料で分かりますが、学校の雰囲気と進路指導の方針は行かないと分からない。両方見てから決める
  • 5. 志望校の確定は中学3年生の夏までに済ませる 制度が正反対である以上、秋まで持ち越すと特色検査対策の演習量が足りなくなる。この2校に関しては、確定を早めることが対策になる

私の経験では、迷ったまま秋を迎えたご家庭ほど、結果的に特色検査対策を捨てて新城に流れる選択をしていました。それ自体は悪い判断ではありませんが、消去法で決めた志望校と、納得して選んだ志望校では、直前期の粘りが変わります。塾選びの判断軸そのものは「塾選びの6つの判断軸」で、模試の判定の読み方は「神奈川で受けるべき模試」でまとめています。

川崎市の塾選びでよくある失敗パターン

答え:川崎市の塾選びで起きやすい失敗は4つです。多摩と新城を同じ準備で進める、特色検査がないから新城のほうが楽だと判断する、川崎市立高校を県立と同じ前提で併願候補に入れる、都内私立の併願対策を中学3年生の秋から足す。いずれも県公式の選考基準と各市の通学区域規則を確認しておけば避けられます。

教室長として川崎市で面談を重ねるなかで、繰り返し見てきた失敗を4つ挙げます。どれも中学2年生までに手を打てば避けられるものです。

⚠失敗1:多摩と新城を「同じ川崎の上位校」として同じ準備で進める

競争率が1.64倍と1.55倍で近いため、同じ層の学校として扱われがちです。ところが選考基準は4:6:2と5:5で、特色検査の有無まで違います。同じ準備で進めると、多摩志望なら特色検査の演習が抜け、新城志望なら内申対策の優先度が下がります。2校を候補にする場合は、必ず選考基準の比率と特色検査の欄を並べて確認してください。県のサイトで誰でも確認できます。

⚠失敗2:特色検査がないから新城のほうが楽だと判断する

検査が1つ少ないぶん準備が軽い、という発想は成り立ちません。特色検査に割く時間がないということは、その時間を内申と5教科に回せるということであり、他の受検者も同じ条件です。1.55倍という競争率のなかで、二正面を同じ重みで仕上げてくる集団と勝負することになります。比率5:5は「どちらも落とせない」という意味です。逃げ道の少ない設計だと考えて準備してください。

⚠失敗3:川崎市立高校を県立と同じ前提で併願候補に入れる

神奈川県立高校の全日制は全県一学区で、県内どこからでも志願できます。一方、川崎市立高校の全日制普通科は学区が川崎市内全域と定められており、市外に住んでいる場合は中学校長の同意を得たうえで、入学を許可される数が募集定員の8パーセント以内に制限されます。川崎市在住なら市立高校の枠を通常どおり使えますが、市外から川崎市立を狙う場合は前提が変わります。市立の橘・高津・幸を候補に入れるときは、この規則を先に確認してください。

⚠失敗4:都内私立の併願対策を中学3年生の秋から足す

川崎市からは都内の私立・国立が通学圏に入るため、秋になって併願先を都内に広げるご家庭があります。ところが公立の選考基準に最適化した準備と、私立・国立の出題形式への対応は別物です。多摩志望なら特色検査、新城志望なら内申と5教科を抱えたまま、そこに新しい対策を足すことになります。併願を都内に広げるなら、遅くとも中学3年生の夏までに体制を決めてください。秋以降の追加は、第一志望の準備を削ります。

よくある質問(FAQ)

Q. 川崎市の公立上位校はどこですか?

令和8年度の県公表データでは、川崎市の公立普通科で競争率が1.5倍を超えたのは県立多摩の1.64倍と県立新城の1.55倍の2校です。県内の全日制普通科全体でも1.5倍を超えたのは横浜翠嵐・多摩・湘南・新城の4校のみで、その半数が川崎市に集まっています。次いで川崎市立橘が1.40倍、川崎市立幸が1.35倍、川崎市立高津が1.22倍、県立住吉が1.20倍と続きます。

Q. 多摩高校と新城高校では入試の準備はどう違いますか?

多摩は第1次選考が内申4:学力検査6:特色検査2で自己表現検査を60分実施し、新城は内申5:学力検査5で特色検査を実施しません。多摩は5教科の仕上げとは別に特色検査の演習時間を確保する必要があり、新城はその時間を内申と5教科の当日点に配分できます。内申の重みは新城のほうが大きく、当日点の重みは多摩のほうが大きい設計です。競争率は近くても、準備の順番は二分されます。

Q. 新城高校は学力向上進学重点校ではないのですか?

新城は学力向上進学重点校にもエントリー校にも指定されておらず、特色検査も実施しません。指定を受けている18校は令和9年度の自己表現検査で県作成の共通問題と共通選択問題を用いますが、新城はその対象外です。ただし令和8年度の競争率1.55倍は湘南と同率で県内4位タイであり、指定を受けた多くの学校を上回ります。県の指定区分と志願の集中度は一致しません。

Q. 川崎市から東京都の高校は受検できますか?

都立高校は受検できません。公立高校の入学者選抜は原則としてその都道府県内に住所を有する者を対象とするためです。川崎市から都内の高校を目指す場合、対象は私立高校と国立高校に限られます。多摩区からも中原区からも都内は通学圏に入りますが、私立・国立の出題形式は神奈川の公立入試と別物です。一般入試で受けるなら、公立対策とは別の準備が必要になります。

Q. 多摩高校と新城高校は併願できますか?

できません。神奈川県の公立高校入試は共通選抜として全県一律の日程で学力検査を実施し、選抜機会は1回だからです。志願変更の期間はありますが、2校を同時に受けることはできません。多摩と新城は選考基準が正反対であるため、志望校の確定が遅れると学習配分そのものを組み直すことになります。この2校で迷っている場合は、中学3年生の夏までに決めておきたいところです。

Q. 川崎市立高校は県立高校と受検の条件が違いますか?

違います。神奈川県立高校の全日制は2005年度入試から全県一学区となり、県内どこからでも志願できます。一方、川崎市立高等学校の通学区域に関する規則では、全日制普通科の学区は川崎市内全域と定められています。市外に住んでいる場合は在籍中学校長の同意を得たうえで志願でき、入学を許可される数は募集定員の8パーセント以内に制限されます。普通科を除く学科の学区は県内全域です。

まとめ:競争率が同じでも、準備の順番は同じにならない

答え:多摩と新城は令和8年度の競争率が1.64倍と1.55倍で近い一方、選考基準は4:6:2と5:5で、特色検査の有無まで分かれます。塾の第1候補はどちらも臨海セミナーですが、多摩は特色検査対策の体系、新城は中学校別対応の面の広さという別の理由で選ばれます。第2候補は多摩がSTEP、新城が湘南ゼミナールで入れ替わり、都内の私立・国立を併願する場合は第1候補そのものが変わります。

本記事では、神奈川県が公表している令和9年度の選考基準と令和8年度の合格状況をもとに、川崎市の公立上位2校の入試設計と、そこから逆算した塾の選び分けを解説してきました。要点を整理します。

川崎市の公立普通科で競争率1.5倍を超えたのは多摩と新城の2校だけです。県内の全日制普通科で1.5倍を超えた4校のうち、半数がこの市に集まっています。県の指定区分では新城が枠外になりますが、志願の集中度という実測値で見れば、この2校は同じ層にいます。

ところが入試設計は正反対です。多摩は4:6:2で60分の自己表現検査を実施し、新城は5:5で特色検査を実施しません。多摩は5教科とは別に特色検査の演習時間が要り、新城はその時間を内申と当日点に回せる代わりに、二正面を同じ重みで仕上げる必要があります。

塾の第1候補は2校とも臨海セミナーですが、理由が違います。多摩は特色検査対策を独立した体系として持つ点と、多摩区の登戸・向ヶ丘遊園・中野島・生田・稲田堤に教室が並ぶ点。合格者92名・占有率約33%・12年連続70名超えという継続性がこれを裏づけます。新城は中学校別の定期テスト対策を中原区・高津区の教室網で回せる点で、合格者65名・占有率約24%です。第2候補は、多摩が特色検査対策講座を持つSTEP、新城が中原区に4校を構える湘南ゼミナールに分かれます。

ただし、この2校では他の塾も実績を持っています。臨海セミナーが川崎市内の他校で掲げている合格者数No.1の表記は、多摩と新城にはありません。市内でもっとも志願が集中する2校だからこそ、看板ではなく占有率と通学圏の教室配置で比べる意味があります。

都内の私立・国立を併願する場合は、判断軸が変わります。都立は受検できず、対象は私立と国立に限られます。公立の選考基準に最適化した準備とは別に出題形式への対応が要るため、ここでは公立対策の塾が第1候補から外れます。併願を都内に広げるなら、中学3年生の夏までに体制を決めてください。

塾にかかる費用の目安を先に把握しておきたい場合は、姉妹サイトの「塾の年間費用と平均月謝の実像」で学年別の相場を確認できます。志望校が固まっていない段階でも、3年間の総額の見通しは立てられます。志望校から逆算する塾選びの考え方そのものは「藤原メソッド(塾選びの軸)」でまとめました。

最後にひとつ。この2校で迷っているなら、決断を早めてください。制度が同じ2校なら確定を秋まで待てますが、多摩と新城は特色検査を取るか取らないかで学習配分が変わります。迷ったまま秋を迎えると、選択肢のほうが先に狭まります。