この記事のサマリー
- 横須賀は第1次選考が3:7:1で、調査書の国・数・英を2倍で数える。18校の普通科で調査書に重点化を置くのは横須賀だけ
- 鎌倉は4:6:1で重点化なし。特色検査の比率は2校とも1で、第2次選考も8:2:1で揃う
- 鎌倉は県の合格状況の集計で「鎌倉・藤沢・茅ヶ崎」側に入る。高校は江ノ電の鎌倉高校前駅から徒歩5分で、通学の向きは湘南側にある
- 2026年度の合格者数は、横須賀が臨海セミナー104名・STEP94名、鎌倉がSTEP213名・臨海セミナー40名。首位の塾が2校で入れ替わる
- 塾の第1候補は、横須賀志望が臨海セミナー、鎌倉志望がSTEP。鎌倉志望の第2候補は臨海セミナー
- 逗子からはJR横須賀線の上りと下りで2校に分かれる。国数英の評定が他教科より高いかどうかが、志望校選びの分かれ目になる
目次
「横須賀と鎌倉、どちらも三浦半島の上位校ですよね。塾は同じところでいいですか」。逗子や葉山のご家庭から、この質問を何度も受けてきました。私はそのたびに、2校の合格者数を塾別に並べた表を先に見てもらいます。合格者のいちばん多い塾が、2校で入れ替わっているからです。
ここで使う材料は3種類です。県教育委員会の令和9年度選考基準、令和8年度の合格状況、そして各塾が公式サイトに載せている2026年度の合格者数と教室の所在地です。神奈川県の大手学習塾で18年間教室長を務め、公立上位校の合格指導を統括してきた経験から、横須賀と鎌倉の塾の選び分けを、2校のあいだに住むご家庭が迷いやすい点まで含めて整理します。
横須賀と鎌倉は特色検査1が共通で、内申の数え方が違う
横須賀と鎌倉は、いずれも県の学力向上進学重点校エントリー校に指定されています。18校で共通の自己表現検査を60分で受ける点も同じです。違うのは、内申をどう数えるかと、学力検査にどれだけ重みを置くかの2点です。
第1次・第2次の比率と重点化を一覧にする
| 項目 | 横須賀 | 鎌倉 |
|---|---|---|
| 第1次選考(内申:学力:特色) | 3:7:1 | 4:6:1 |
| 重点化 | 調査書の国・数・英を2倍 | なし |
| 第2次選考(学力:態度:特色) | 8:2:1 | 8:2:1 |
| 特色検査 | 自己表現検査 | 自己表現検査 |
| 募集定員 | 279名 | 359名 |
| 受検者数 | 346名 | 433名 |
| 競争率 | 1.23倍 | 1.20倍 |
出典:神奈川県教育委員会「令和9年度神奈川県公立高等学校入学者選抜選考基準及び特色検査」/神奈川県教育委員会「令和8年度神奈川県公立高等学校入学者選抜一般募集共通選抜等の合格者数及び二次募集について」別紙4(2026年9月時点)
競争率は1.23倍と1.20倍でほぼ並びます。一方で、第1次選考の比率は内申の重みが3と4、学力検査の重みが7と6で、1ずつずれています。数字だけ見れば小さな差ですが、ここに重点化の有無が加わると、同じ評定の生徒でも2校で扱われ方が変わります。
横須賀:当日点7の学校が3教科の評定だけを厚く数える
横須賀は横須賀市公郷町にあり、学校公式の案内ではJR横須賀線の衣笠駅から徒歩12分です。比率は3:7:1で、学力検査の重みが18校のなかでも重い部類に入ります。
そのうえで、調査書の国語・数学・英語を2倍で数えます。県の選考基準を見ると、18校の普通科で調査書に重点化を置いているのは横須賀だけです。当日点を重く見る設計のなかで、内申側は3教科に寄せている。この組み合わせが横須賀の入試の特徴です。重点化の計算方法や当日点の目安は「横須賀高校の塾選び」で詳しく扱っているので、ここでは2校を比べるうえで必要な点に絞ります。
鎌倉:重点化のない4:6:1
鎌倉は鎌倉市七里ガ浜にあり、学校公式の案内では江ノ島電鉄の鎌倉高校前駅から徒歩5分です。比率は4:6:1で、光陵・希望ケ丘・川和・茅ケ崎北陵・大和・相模原と同じ配分になります。
重点化はありません。9教科の評定がそのまま同じ重みで合計されます。実技4教科を含めて1教科の落ち込みがそのまま総合点に響くため、内申の作り方は横須賀と逆の発想になります。3教科に寄せる横須賀と、9教科を均等に揃える鎌倉。この違いは、後で扱う逗子・葉山からの志望校選びで効いてきます。神奈川の調査書の数え方そのものは「神奈川県の内申点・内申書」で整理しています。
配点が1でも自己表現検査を捨てられない理由
特色検査の比率1は、18校の普通科のうち横須賀・鎌倉を含む10校と同じで、軽い側の設定です。それでも対策をゼロにしてよい理由にはなりません。
理由は2つあります。1つ目は、第2次選考にも1が残ることです。第1次で合否が決まらなかった層は、学力検査と態度評価と特色検査で再度並べられます。2つ目は、得点差の換算です。特色検査で100点満点換算の10点の差がつくと、横須賀では学力検査の約7点分、鎌倉では約8点分に相当します。5教科で7〜8点を上積みする労力と、60分の検査の答え方の型を身につける労力を比べると、後者のほうが短い期間で差を詰められます。
私が教室長をしていた頃も、比率1の学校を志望する生徒には、中学3年生の秋から共通問題の過去問で答案の形式だけは身につけてもらっていました。時間を割きすぎる必要はありませんが、初めて見る形式で本番を迎えるのは避けてください。
三浦半島と湘南の境目で、合格者の多い塾が入れ替わる
横須賀と鎌倉は、地図の上では三浦半島のつけ根に並んでいます。ところが、県の集計の仕方、生徒の通学の向き、塾の合格者の分布をそれぞれ見ていくと、2校は別の地域に属しています。県全体を6つのエリアに分けた見取り図は「神奈川の学習塾をエリア別に見る」にあります。
横須賀三浦の公立普通科5校の競争率
| 高校名 | 募集定員 | 受検者数 | 競争率 |
|---|---|---|---|
| 横須賀 | 279名 | 346名 | 1.23倍 |
| 津久井浜 | 238名 | 279名 | 1.17倍 |
| 横須賀大津 | 278名 | 320名 | 1.14倍 |
| 逗子葉山 | 318名 | 362名 | 1.14倍 |
| 追浜 | 318名 | 348名 | 1.08倍 |
出典:神奈川県教育委員会「令和8年度神奈川県公立高等学校入学者選抜一般募集共通選抜等の合格者数及び二次募集について」別紙4(2026年9月時点)。クリエイティブスクールと単位制・総合学科は含めていません。
この区分の5校で、競争率が最も高いのは横須賀の1.23倍です。特色検査を実施するのも5校のうち横須賀だけです。三浦半島の公立普通科を志望する中学生にとって、横須賀は区分のなかの頂点に位置しています。
鎌倉は集計によって湘南側に数えられる
鎌倉がどちらの地域に入るかは、資料によって扱いが分かれます。県の選考基準の一覧では、鎌倉は逗子葉山のすぐ後に並び、横須賀三浦の学校群と続けて掲載されています。一方、令和8年度の合格状況では、鎌倉は「横須賀・三浦」ではなく「鎌倉・藤沢・茅ヶ崎」の区分に入ります。塾の実績の集計でも、臨海セミナーは鎌倉を「旧鎌倉藤沢学区地域」に分類しています。
生徒の通学も同じ向きです。鎌倉高校前駅は江ノ電の途中駅で、鎌倉駅側からも藤沢駅側からも入れます。三浦半島から通う生徒もいますが、藤沢市内から江ノ電1本で通える位置にあることが、鎌倉の生徒層を湘南寄りにしています。
横須賀三浦と鎌倉をひとまとめに扱うと、この境目が見えなくなります。塾の合格者の分布が2校で大きく違うのも、この境目に沿っています。
隣の七里ガ浜は1.46倍、鎌倉は1.20倍
鎌倉と同じ鎌倉市七里ガ浜にある県立七里ガ浜は、令和8年度の競争率が1.46倍で、鎌倉の1.20倍を上回りました。募集定員は358名と359名でほぼ同じ規模です。
この数字を「七里ガ浜のほうが難しい」と読むのは早計です。七里ガ浜は4:6で特色検査を実施せず、鎌倉は60分の自己表現検査を課します。準備の負担が違う学校どうしでは、競争率は受検者がどこに集まったかを示す数字であって、合格に必要な学力の高さを直接比べる物差しにはなりません。志望校の難しさを測るときは、競争率より選考基準の欄を先に見てください。
臨海セミナーとSTEPの合格者数を2校で見比べる
| 高校名 | 県公表の合格者数(令和8年度) | 臨海セミナー | STEP |
|---|---|---|---|
| 横須賀 | 279名 | 104名(約37%) 10年連続合格者数No.1 |
94名(約34%) |
| 鎌倉 | 359名 | 40名(約11%) | 213名(約59%) 42年連続全塾中No.1 |
合格者数と連続No.1の表記は各社公式サイトの記載に基づきます。占有率は県公表の合格者数に対する参考値で、各社の集計基準は同一ではありません。出典:臨海セミナー「高校入試 合格実績」/STEP「2026年度 公立高校合格実績」(2026年9月時点)
横須賀では臨海セミナーが104名、STEPが94名で、10名差で臨海セミナーが上回ります。鎌倉ではSTEPが213名で、臨海セミナーの40名の5倍を超えます。横須賀では2社が拮抗し、鎌倉ではSTEPが県公表合格者の6割近くを占める。同じ2社の比較でも、2校で構図がまったく違います。
湘南ゼミナールは、横須賀の合格者を35名(前年度も35名)と公式サイトで公表しています(湘南ゼミナール「高校入試の合格実績」、2026年9月時点)。県公表の合格者279名に対する割合は約13%です。鎌倉は学校別の人数が掲載されていないため、この表は臨海セミナーとSTEPの2社で比べています。
横須賀志望と鎌倉志望で塾の第1候補が変わる
2校それぞれについて、塾の候補を3つずつ挙げます。並べる順番は、まず入試の設計に合うか、次に無理なく通えるか、最後に通塾以外の形も含めてどう補えるか、で決めました。根拠に使ったのは各社の公式サイトで確かめられる合格者数・コース・教室の所在地だけです。塾の良し悪しを格付けしたものではない点をお断りしておきます。
横須賀志望:当日点7と3教科の評定を同じ教室で回せるか
横須賀は学力検査の重みが7ある一方で、内申は国数英を2倍で数えます。当日点に向けた演習と、通っている中学校の定期テストで3教科の評定を取りきる作業を、同じ塾で並行できるかどうかが第1の判断軸です。加えて、三浦半島は南へ行くほど塾の選択肢が減るため、通える距離に教室があるかどうかが第2の判断軸として効いてきます。
臨海セミナー
2026年度の横須賀合格者は104名で、10年連続合格者数No.1と公式に発表している。県公表の合格者279名に対する占有率は約37%。横須賀市内に小中学部の教室が10か所あり、選抜制のESC難関高校受験科が久里浜に置かれている。横須賀高校の最寄りである衣笠駅から徒歩1分に衣笠校がある。
STEP(高校受験ステップ)
2026年度の横須賀合格者は94名で、占有率は約34%。横須賀市内に汐入・県立大学前・衣笠・久里浜の4スクール、逗子市に逗子スクールがある。難関校向けのHi-STEPは横須賀市内になく、最寄りは鎌倉・金沢文庫・上大岡のスクールになる。
個別指導
国数英のうち1教科だけ評定が伸びない場合の選択肢。横須賀では3教科の評定が2倍で数えられるため、その1教科の穴がほかの教科の2倍の重さで効く。集団塾と併用し、該当教科だけを個別で補う使い方が現実的。
横須賀志望で私が必ず確認していたのは、「国数英の定期テスト対策を、通っている中学校の範囲に合わせてやってもらえるか」という点です。当日点の演習はどの集団塾でも組まれていますが、3教科の評定を学期ごとに取りきる作業は、教室が中学校の近くにあるほど細かく回せます。横須賀の入試特性と学年別の進め方は「横須賀高校の塾選び」で単独記事として扱っています。
鎌倉志望:江ノ電沿線から通えて当日点6に備えられるか
鎌倉は4:6:1で重点化がありません。当日点の比重が6ある入試で、9教科の評定も均等に揃える必要があります。第1の判断軸は、当日点に向けた選抜コースを持ち、鎌倉への合格者を多く出しているかどうか。第2の判断軸は、藤沢・鎌倉・大船のどこから通っても無理のない動線に教室があるかどうかです。
STEP(高校受験ステップ)
2026年度の鎌倉合格者は213名で、42年連続で全塾中No.1と公式に発表している。県公表の合格者359名に対する占有率は約59%。難関校向けのHi-STEP鎌倉スクールが鎌倉駅西口側の御成町にあり、鎌倉市内に大船・大船笠間・湘南深沢・Hi-STEP大船、藤沢市内にも多数のスクールを持つ。
臨海セミナー
2026年度の鎌倉合格者は40名で、過去最高と公式に発表している。占有率は約11%。大船駅から徒歩4分の大船校にESC難関高校受験科を置き、鎌倉市内に湘南深沢校・鎌倉校、藤沢市内に8か所の教室を持つ。鎌倉校は鎌倉駅から徒歩15〜16分と案内されており、江ノ電沿線に教室はない。
個別指導とオンラインの併用
江ノ電沿線や鎌倉市西部に住んでいて、集団塾の教室まで乗り換えが続く場合の選択肢。9教科の評定を均等に揃える必要がある鎌倉では、実技教科を含めて弱い教科だけを個別で補う使い方が合う。自己表現検査の答案は、人に見てもらえる形式を選ぶ。
鎌倉志望のご家庭には、「合格者数の多さ」と「通いやすさ」を分けて確認してもらっていました。鎌倉ではSTEPの合格者数が大きく抜けていますが、それは藤沢・鎌倉一帯に教室を広く持っていることとも表裏です。住んでいる場所から実際に通えるスクールがどこか、その教室の中学3年生の鎌倉志望者が何人いるかを、体験授業のときに聞いてみてください。
2校の候補を並べた表
| 志望 | 第1の判断軸 | 第1候補 | 第2候補 | 第3候補 |
|---|---|---|---|---|
| 横須賀 | 当日点7と国数英の評定の両立 | 臨海セミナー | STEP | 個別指導 |
| 鎌倉 | 当日点6への選抜コースと鎌倉の合格実績 | STEP | 臨海セミナー | 個別指導とオンラインの併用 |
合格者数・コース・教室の所在地は、2026年9月時点で各社の公式サイトに掲載されている内容です。候補の並びは入試設計との相性、通いやすさ、通塾以外の補い方の順に判断したもので、塾全体の評価ではありません。
横須賀で10年連続合格者数No.1の塾|臨海セミナー
前章では、2校で第1候補が入れ替わることを示しました。ここでは、横須賀で首位に立ち、鎌倉で合格者を伸ばしている臨海セミナーについて、数字と教室配置を具体的に見ていきます。
横須賀104名・鎌倉40名と占有率
横須賀 合格者数
(2026年度・10年連続合格者数No.1)
横須賀 占有率
(県公表合格者279名に対する参考値)
鎌倉 合格者数
(2026年度・過去最高)
鎌倉 占有率
(県公表合格者359名に対する参考値)
横須賀の104名は、2025年の95名から9名増えています。10年連続の合格者数No.1は、臨海セミナーが各塾の合格者数をホームページやチラシなどで確認したうえでの表記です。県公表の合格者279名のうち、およそ3人に1人以上が臨海セミナーの在籍者だったことになります。
一方、鎌倉の約11%は、横須賀の約37%と比べると3分の1以下の水準です。この差は、次に見る教室配置とほぼ対応しています。
横須賀市内の小中学部10教室と久里浜のESC
| 市 | 臨海セミナー | STEP | 湘南ゼミナール |
|---|---|---|---|
| 横須賀市 | 小中学部10か所(追浜・汐入・県立大学駅前・衣笠・大津・北久里浜・久里浜・浦賀・野比・武山)、ESC久里浜 | 汐入・県立大学前・衣笠・久里浜 | 追浜・浦賀・久里浜 |
| 逗子市 | 新逗子 | 逗子 | ― |
| 鎌倉市 | 大船(ESCあり)・湘南深沢・鎌倉 | Hi-STEP鎌倉・Hi-STEP大船・大船・大船笠間・湘南深沢 | 大船 |
各社公式サイトの教室一覧・スクール検索に基づきます(2026年9月時点)。臨海セミナーは横須賀中央に個別指導の教室もあります。三浦市・葉山町には3社とも教室がありません。
横須賀市内では、臨海セミナーの教室数が他の2社を大きく上回ります。とくに野比・武山は、3社のうち臨海セミナーだけが教室を置いている地域です。三浦半島の南側から横須賀を目指す場合、ここに教室があるかどうかは通塾時間に直結します。
コースの面では、選抜制のESC難関高校受験科が横須賀市内の久里浜に置かれています。当日点7の横須賀に向けた演習を、市外に出ずに受けられる配置です。横須賀高校の最寄りの衣笠駅には衣笠校があり、「衣笠校」の案内では衣笠駅から徒歩1分です。臨海セミナーの公式サイトでは、ESCの設置は「久里浜校」「大船校」の各教室ページで確認できます。
鎌倉の合格者は5年で2倍になった
| 年度 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | 2025年 | 2026年 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 合格者数 | 19名 | 23名 | 26名 | 28名 | 39名 | 40名 |
出典:臨海セミナー「高校入試 合格実績」(2026年9月時点)
鎌倉の合格者は、2021年の19名から2026年の40名まで毎年増え、5年で2倍を超えました。とくに2024年から2025年にかけて11名増えています。
ここは正直に書いておきます。40名は過去最高ですが、鎌倉ではSTEPが213名を出しており、首位との差は173名あります。臨海セミナーは鎌倉について合格者数No.1の表記を掲げていません。伸びている事実と、まだ首位ではない事実は、両方とも同じ公式発表から読み取れます。鎌倉志望で臨海セミナーを検討する場合は、伸びの勢いより、自宅から通える教室にどれだけ鎌倉志望者がいるかを確認してください。
鎌倉校が駅から離れている点をどう見るか
臨海セミナーの鎌倉校は鎌倉市雪ノ下にあり、公式の案内では鎌倉駅から徒歩15〜16分です。鎌倉高校のある江ノ電沿線には教室がありません。鎌倉駅の西口側にあるHi-STEP鎌倉スクールと比べると、鎌倉駅を起点にした動線では不利です。
補う方法は、住んでいる場所で分かれます。大船周辺なら大船校(大船駅から徒歩4分・ESCあり)、鎌倉市の西部なら湘南モノレールの湘南深沢校、藤沢市内なら藤沢・辻堂・鵠沼海岸など8か所の教室が候補になります。鎌倉高校に通う生徒の多くが藤沢側からも来ることを考えると、鎌倉校1つだけで判断するより、自宅と中学校の位置から通える教室を選ぶほうが実態に合います。
逆に、鎌倉駅周辺や江ノ電沿線に住んでいて、塾まで乗り換えが続くようなら、鎌倉志望については第1候補のSTEPを先に検討するのが素直です。
逗子・葉山から通う場合に横須賀と鎌倉をどう選ぶか
2校のあいだに住むご家庭にとって、横須賀と鎌倉は同じ候補群に並びます。どちらを選ぶかで塾の第1候補まで変わる以上、志望校を決める順番を先に整理しておく必要があります。
逗子駅から横須賀線の上りと下りで2校に分かれる
逗子駅は、2校への通学の分かれ目にあたります。JR横須賀線の下りに乗れば、東逗子・田浦・横須賀を経て衣笠駅に着き、横須賀高校は学校公式の案内で衣笠駅から徒歩12分です。上りに乗れば次の鎌倉駅で江ノ電に乗り換え、鎌倉高校前駅から徒歩5分で鎌倉高校に着きます。
葉山町には鉄道の駅がないため、葉山から通う場合はバスで逗子駅か京急の逗子・葉山駅に出てから同じ分岐に入ります。どちらの学校も、逗子から乗り換え1回以内で届く位置にあります。通学の負担で2校に大きな差はつきにくく、決め手は入試の設計の側に移ります。所要時間は時間帯で変わるため、志望校を絞る前に、登校時刻に合わせて一度実際に通ってみてください。
出典:神奈川県立横須賀高等学校「アクセス」/神奈川県立鎌倉高等学校「アクセス」(2026年9月時点)
国数英の評定が揃っているかで分かれる
重点化の有無は、同じ評定の生徒を2校で違う順位に並べます。中学2年生と3年生の評定がどちらも同じ、次の2人で比べてみます。
| 生徒 | 評定 | 横須賀(180点満点) | 鎌倉(135点満点) |
|---|---|---|---|
| Aさん | 国数英が5、他の6教科が4 | 162点(90.0%) | 117点(86.7%) |
| Bさん | 国数英が4、他の6教科が5 | 162点(90.0%) | 126点(93.3%) |
県の選考基準に従い、中2の9教科の合計+中3の9教科の合計×2で算出。横須賀は各学年の国・数・英を2倍で数えます。
横須賀では、2人は同じ162点です。国数英の3教科を2倍で数えると、3教科の重みが他の6教科の合計と釣り合うからです。一方、重点化のない鎌倉ではBさんが9点上回ります。鎌倉の第1次選考でこの9点は、学力検査に換算して約22点分にあたります。
読み方はこうです。国数英が得意で実技教科に波があるAさんのようなタイプは、鎌倉より横須賀で内申を生かせます。実技教科まで揃っているBさんのようなタイプは、鎌倉でそのまま差になります。逗子・葉山のご家庭には、志望校を決める前に中学2年生の学年末の評定をこの形で並べてみることを勧めていました。
志望校が動いても塾を変えずに済む配置
逗子・葉山から通う場合、塾の選択肢は逗子市内と、横須賀線の上下の駅周辺に広がります。逗子市内には臨海セミナーの新逗子校(京急の逗子・葉山駅から徒歩1分)とSTEPの逗子スクールがあり、どちらも志望校が横須賀と鎌倉のあいだで動いても通い先を変えずに済む位置です。
中学2年生の段階で志望校が決まっていないなら、まず逗子市内で通える教室を選び、中学3年生の夏までに志望校を確定させる順番が無理のない進め方です。志望校が横須賀に決まれば臨海セミナーの横須賀市内の教室網、鎌倉に決まればSTEPの鎌倉・大船のスクールと、確定した側に強い塾へ寄せていけます。体験授業で何を確かめるかは「塾選びの6つの判断軸」、2校の判定を模試でどう見比べるかは「神奈川で受けるべき模試」が参考になります。
横須賀三浦・鎌倉の塾選びで起きやすい判断ミス
三浦半島や鎌倉から相談に来られたご家庭で、何度も同じ形で見かけた判断ミスが4つあります。気づくのが中学2年生のうちなら、どれも十分に修正が間に合います。
判断ミス1:横須賀の重点化を内申重視の学校と読み違える
「国数英が2倍」と聞くと、内申の比重が大きい学校だと受け取られがちです。ところが第1次選考の比率は内申3に対して学力検査7で、横須賀は当日点を重く見る学校です。重点化は内申の中身を3教科に寄せる仕組みであり、内申全体の重みを増やすものではありません。定期テスト対策だけに寄せた塾選びでは、学力検査の7に届きません。
判断ミス2:鎌倉を横須賀中央周辺の塾だけで探す
鎌倉を「三浦半島の上位校」と捉えると、横須賀中央や汐入の周辺で塾を探しがちです。ところが鎌倉は県の集計でも塾の実績でも湘南側に入り、合格者を多く出している塾の顔ぶれが横須賀と違います。鎌倉志望なら、鎌倉・大船・藤沢方面の教室まで候補に入れてください。逗子から見て上りの方向です。
判断ミス3:特色検査が1だから対策をゼロにする
比率1は軽い設定ですが、第2次選考にも1が残ります。100点満点換算で10点の差は、横須賀では学力検査の約7点分、鎌倉では約8点分です。60分の自己表現検査を初めて見る形式で受けると、この程度の差は簡単につきます。中学3年生の秋には、共通問題の過去問で答案の形式だけは身につけておいてください。
判断ミス4:三浦半島の南部から市外の難関コースへ通う計画を中学3年生になってから立てる
横須賀市の南部や三浦市からは、市外の難関校向けコースまで片道の移動が長くなります。中学3年生になってから通い始めると、部活動の引退前後の忙しい時期に通塾の負担が重なります。市外に通うなら中学2年生のうちに実際の通塾時間を測り、市内の選抜コースと比べて決めてください。横須賀市内では久里浜に臨海セミナーのESC難関高校受験科があります。
よくある質問(FAQ)
Q. 三浦半島と鎌倉で県の指定を受けている公立高校は?
横須賀と鎌倉の2校です。いずれも神奈川県の学力向上進学重点校エントリー校に指定され、18校共通の自己表現検査を実施します。横須賀市・三浦市・逗子市・葉山町・鎌倉市にある県立高校で、この指定を受けているのはこの2校だけです。県の集計区分「横須賀・三浦」の普通科5校で特色検査を実施するのも横須賀のみで、令和8年度の競争率1.23倍は5校で最も高い値でした。
Q. 横須賀と鎌倉の選考基準は何が違いますか?
違いは内申の数え方と当日点の重みです。横須賀は第1次選考が内申3:学力検査7:特色検査1で、調査書の国語・数学・英語を2倍で数えます。鎌倉は内申4:学力検査6:特色検査1で、重点化はありません。第2次選考は2校とも学力検査8:態度2:特色検査1で揃います。国数英が得意な生徒は横須賀で、9教科が揃っている生徒は鎌倉で内申が生きやすくなります。
Q. 鎌倉高校に合格者を多く出している塾はどこですか?
2026年度はSTEPが213名で、県公表の合格者359名の約59%にあたり、42年連続で全塾中No.1と公式に発表しています。臨海セミナーは40名で、2021年の19名から5年で倍増し過去最高を更新しました。一方、横須賀では臨海セミナーが104名で10年連続合格者数No.1、STEPが94名で、首位の塾が2校で入れ替わります。数値は各社公式発表に基づく参考値です。
Q. 逗子や葉山に住んでいる場合、横須賀と鎌倉はどちらが通いやすいですか?
通いやすさに大きな差はありません。逗子駅からJR横須賀線を下れば横須賀高校の最寄りの衣笠駅、上れば鎌倉駅で江ノ電に乗り換えて鎌倉高校前駅に出られ、どちらも乗り換え1回以内です。決め手は内申の形で、国数英が他教科より高いなら横須賀、実技教科まで揃っているなら鎌倉が有利です。逗子市内には臨海セミナーとSTEPの教室があり、志望校が動いても通い先を変えずに済みます。
Q. 鎌倉高校の競争率が七里ガ浜高校より低いのは易しいからですか?
易しいからではありません。令和8年度の競争率は鎌倉1.20倍、七里ガ浜1.46倍で、募集定員は359名と358名でほぼ同じです。ただし鎌倉は60分の自己表現検査を課し、七里ガ浜は特色検査を実施しません。準備の負担が違う学校どうしでは、競争率は受検者の集まり方を示す数字であって、合格に必要な学力を比べる物差しにはなりません。難しさは選考基準から判断します。
Q. 特色検査の比率が1なら対策しなくてもよいですか?
対策をゼロにするのは勧めません。横須賀と鎌倉は第1次選考だけでなく第2次選考にも特色検査の比率1が残ります。100点満点換算で10点の差は、横須賀では学力検査の約7点分、鎌倉では約8点分に相当します。時間を割きすぎる必要はありませんが、中学3年生の秋には県の共通問題の過去問で60分の検査の答案の形式を身につけておくと、初見の形式で失点する事態を避けられます。
まとめ:横須賀と鎌倉は、通学の向きから塾を決める
横須賀と鎌倉について、入試の設計、地域の区分、塾の合格者の分布、逗子・葉山からの選び方の順に見てきました。最後に全体をまとめます。
2校は特色検査の比率が1で揃い、第2次選考も8:2:1で同じです。違いは内申の数え方にあります。横須賀は当日点7の学校でありながら国数英を2倍で数え、鎌倉は重点化のない4:6:1で9教科を均等に数えます。国数英が得意なら横須賀、実技教科まで揃っているなら鎌倉で、内申が生きやすくなります。
地域の区分も同じではありません。鎌倉は県の合格状況の集計で「鎌倉・藤沢・茅ヶ崎」側に入り、江ノ電の鎌倉高校前駅から通う学校です。横須賀は「横須賀・三浦」の普通科5校で競争率が最も高く、JR横須賀線の衣笠駅が最寄りです。
この境目に沿って、塾の合格者の分布も分かれます。横須賀では臨海セミナーが104名・占有率約37%で、横須賀市内の小中学部10教室と久里浜のESC難関高校受験科、衣笠駅から徒歩1分の衣笠校を持ちます。STEPも94名で続きます。鎌倉ではSTEPが213名・占有率約59%で、鎌倉駅西口側のHi-STEP鎌倉スクールを持ちます。臨海セミナーは鎌倉で40名と5年で倍増しましたが、鎌倉校が駅から離れている点は大船・湘南深沢・藤沢の教室で補う必要があります。
逗子・葉山から通う場合は、JR横須賀線の上りと下りで2校に分かれ、どちらも通学圏に入ります。逗子市内には臨海セミナーとSTEPの教室があるため、まず逗子で通える塾を選び、中学3年生の夏までに志望校を確定させてから、確定した側に強い教室へ寄せていく順番が無理のない進め方です。
通塾を3年間続けた場合の出費は、姉妹サイトの「塾の年間費用と平均月謝の実像」に学年ごとの相場があります。横須賀の学力検査・内申・特色検査の目安は、姉妹サイトの「横須賀高校の偏差値と合格対策」で要素ごとに分解しています。志望校、学年、お子さんの性格の3つから塾を絞る手順は「藤原メソッド(塾選びの軸)」に書いています。
最後にひとつ。横須賀と鎌倉は、地図の上では隣り合っていても、通学の向きが逆です。塾を決める前に、志望校までどちらの方向に通うのかを確かめてください。その向きに、合格者を多く出している塾が並んでいます。

