この記事のサマリー
- 光陵・希望ケ丘・川和は第1次選考の比率がいずれも4:6:1。数字だけを並べると同じ入試に見える
- ところが第2次選考を見ると、川和だけが7:3:1で「主体的に学習に取り組む態度」の比重が他校の1.5倍になる
- 柏陽だけは第1次が3:7:2の当日点型。特色検査の比率も4校で最も重い
- 令和8年度の競争率は柏陽1.52倍・希望ケ丘1.42倍・光陵1.34倍・川和1.19倍。1点の重みが学校ごとに変わる
- 塾の第1候補は4校で分かれる。光陵は臨海セミナー、希望ケ丘は湘南ゼミナール、柏陽はSTEP、川和は個別指導
- 4校すべてに合格実績があるのは臨海セミナー。2026年度は光陵105名・希望ケ丘44名・柏陽39名・川和37名
目次
「光陵と希望ケ丘、どちらを目指しても塾は同じでいいですか」。この質問には、はいとも、いいえとも言えます。第1次選考の比率だけを見れば、この2校はまったく同じ数字です。それでも私は、面談で必ず第2次選考と倍率まで確認してから答えてきました。数字が同じに見える学校ほど、見落としやすい差が残っているからです。
本記事では、神奈川県教育委員会が公表している令和9年度の選考基準をもとに、光陵・希望ケ丘・柏陽・川和の4校について、第1次選考だけでは見えない違いと、そこから逆算した塾の選び分けを解説します。神奈川県の大手学習塾で18年間、教室長として公立上位校への合格指導を統括してきた立場から、志望校ごとに第一の選択肢がどう変わるかまで踏み込みます。
横浜西部・北部の4校は「同じ4:6:1」で括れない
横浜西部・北部という区分は、県教育委員会が学力向上進学重点校とエントリー校を整理する際の地域区分に沿っています。エリアごとの塾の顔ぶれは「神奈川の学習塾をエリア別に見る」で整理しました。この4校のうち柏陽と川和が学力向上進学重点校、光陵と希望ケ丘がエントリー校です。
4校の第1次選考の比率
| 高校名 | 所在区 | 内申:学力:特色 | 教科の重点化 | 県の指定区分 |
|---|---|---|---|---|
| 柏陽 | 栄区 | 3:7:2 | なし | 学力向上進学重点校 |
| 川和 | 都筑区 | 4:6:1 | なし | 学力向上進学重点校 |
| 光陵 | 保土ケ谷区 | 4:6:1 | なし | エントリー校 |
| 希望ケ丘 | 旭区 | 4:6:1 | なし | エントリー校 |
出典:神奈川県教育委員会「令和9年度神奈川県公立高等学校入学者選抜選考基準及び特色検査の概要」(2026年9月時点)
4校のうち3校が4:6:1で並びます。この表だけを見て「柏陽以外は同じ入試」と判断してしまうと、塾選びも学習計画も同じでよいことになります。実際には、そうなりません。
光陵:標準型の4:6:1
光陵は保土ケ谷区川島町にあり、内申4・学力検査6・特色検査1、第2次選考は学力検査8・主体的に学習に取り組む態度2・特色検査1です。神奈川県の公立上位校としてはもっとも標準的な配分で、内申と当日点をバランスよく積み上げる設計になっています。
光陵の入試特性と対策の詳細は「光陵高校の塾選び」で個別に扱っています。特色検査の比率が1である一方で、進学重点校エントリー校として自己表現検査を実施する点の意味も、そちらで解説しました。
希望ケ丘:光陵と数値が完全に一致する
希望ケ丘は旭区南希望が丘にあり、第1次が4:6:1、第2次が8:2:1です。光陵とまったく同じ数字です。県の指定区分もエントリー校で同じ、教科の重点化もどちらもありません。
選考基準の表の上では、この2校を見分ける材料が存在しません。したがって希望ケ丘と光陵の選択は、入試制度ではなく別の要素で決まります。この点は後半で扱います。
柏陽:4校で唯一の当日点型
柏陽は栄区柏陽町にあり、内申3・学力検査7・特色検査2、第2次選考は8:2:2です。第1次の内申比率が4校でもっとも低く、学力検査と特色検査を合わせた当日点が9に対して内申が3という配分になります。
特色検査の比率2は、学力検査の1教科分以上の重みに相当します。学力向上進学重点校の自己表現検査は、重点校8校とエントリー校10校で共通問題と共通選択問題を用いて実施されます。柏陽志望では、この検査の得点が合否に直接効いてきます。
川和:第2次選考だけが違う
川和は都筑区川和町にあり、第1次は4:6:1で光陵・希望ケ丘と同じです。ところが第2次選考は学力検査7・主体的に学習に取り組む態度3・特色検査1で、他の3校が8:2:1または8:2:2であるのに対し、態度評価の比重が1.5倍に設定されています。
この違いは第1次の比率表には現れません。募集人員の大部分は第1次で決まるため見落とされがちですが、第1次で合格に届かなかった受検者にとっては、この配分が結果を左右します。
第2次選考と倍率まで見ると4校は分かれる
神奈川県の公立高校入試は、募集人員の90%までを第1次選考で決め、残りを第2次選考で決めます。第1次は内申と学力検査(および特色検査)、第2次は学力検査と観点別学習状況の評価(および特色検査)で選考します。第2次の配分は学校ごとに設定されており、ここに4校の違いが出ます。
第2次選考の比率を並べる
| 高校名 | 第1次 内申:学力:特色 |
第2次 学力:態度:特色 |
第2次で目立つ点 |
|---|---|---|---|
| 川和 | 4:6:1 | 7:3:1 | 態度評価の比重が4校で最大 |
| 柏陽 | 3:7:2 | 8:2:2 | 特色検査が第1次・第2次とも2 |
| 光陵 | 4:6:1 | 8:2:1 | 標準型 |
| 希望ケ丘 | 4:6:1 | 8:2:1 | 光陵と完全に一致 |
出典:神奈川県教育委員会「令和9年度神奈川県公立高等学校入学者選抜選考基準及び特色検査の概要」
第1次の表では3校が横並びでしたが、第2次を加えると川和が分離します。柏陽は第1次・第2次とも特色検査2で一貫しており、光陵と希望ケ丘だけが完全に同じ数字のまま残ります。
川和の態度評価3が意味すること
「主体的に学習に取り組む態度」は、調査書の観点別学習状況の評価です。A・B・Cの3段階で記録され、第2次選考ではこれを点数化して使います。定期テストの点数ではなく、授業への参加、提出物、振り返りの記述といった日々の取り組みから評価されます。
川和の第2次が7:3:1であるということは、第1次で合格に届かなかった受検者にとって、この観点別評価が他校よりも重く働くということです。学力検査の得点が同じ2人がいた場合、態度評価の差で順位が入れ替わる幅が、他の3校より大きくなります。
ここで注意していただきたいのは、これは「川和は内申が重い学校だ」という意味ではないことです。第1次の内申比率は4で標準的です。効いてくるのは、評定そのものではなく観点別評価であり、しかも第2次に限られます。混同すると対策の方向がずれます。神奈川県の調査書の仕組みは「神奈川県の内申点・内申書」で詳しく解説しています。
競争率1.19倍から1.52倍まで開く
| 高校名 | 受検者数 | 合格者数 | 競争率 |
|---|---|---|---|
| 柏陽 | 490名 | 319名 | 1.52倍 |
| 希望ケ丘 | 516名 | 359名 | 1.42倍 |
| 光陵 | 377名 | 279名 | 1.34倍 |
| 川和 | 434名 | 359名 | 1.19倍 |
競争率は受検者数から受検後取消者数を差し引いた人数を合格者数で除した値です。出典:神奈川県教育委員会「令和8年度神奈川県公立高等学校入学者選抜一般募集共通選抜等合格状況」
ここでも光陵と希望ケ丘が分かれます。比率は完全に同じでも、競争率は1.34倍と1.42倍で、不合格になる人数は光陵が約94名、希望ケ丘が約152名です。募集規模が279名と359名で違うため、同じ倍率でも動く人数が変わります。
1点の重みは学校ごとに違う
倍率は難易度そのものではありません。志願がどれだけ集中したかを示す数字であって、必要な学力の水準を示すものではないからです。ただし倍率は、1点をはさんで合否が分かれる人数を変えます。
川和の1.19倍は、受検者434名に対して359名が合格する入試です。一方で柏陽の1.52倍は、490名から319名を選ぶ入試になります。同じ1点の取りこぼしでも、後者の方が順位への影響が大きく出ます。
したがって柏陽志望では、特色検査2という配分に加えて、失点を避ける精度そのものが問われます。川和志望では、第1次で届かなかった場合の第2次に態度評価3という受け皿がある分、日々の授業への取り組みが最後まで効いてきます。同じ「上位校を目指す」でも、詰めるべき箇所が違います。
5校を横断した制度データの比較は、姉妹サイトの「神奈川公立上位5校の偏差値と対策を横断比較」でさらに詳しく扱っています。
志望校別に見る塾の選び分け
選抜比率と倍率の違いは、塾に求める機能の違いになります。以下では各校について第1候補から第3候補までを挙げます。順位は「入試特性との噛み合わせ」「通塾動線」「通塾以外も含めた選択肢」の順に機械的に判断したもので、塾そのものの優劣を示すものではありません。
光陵志望の塾選び
光陵は4:6:1の標準型で、内申と当日点をバランスよく積み上げる設計です。特色検査の比率は1で、取りこぼしを防ぐ水準で足ります。制度面で際立った特性がないため、判断軸は実績の厚みと通塾動線に移ります。
臨海セミナー
2026年度の光陵合格者は105名で、11年連続合格者数No.1と公式に発表されている。県公表の合格者279名に対する占有率は約38%で、4校のなかで突出している。保土ケ谷区の星川・保土ヶ谷・和田町が光陵の通学動線上にあり、実績と配置が一致している。
STEP(高校受験ステップ)
神奈川県内に限定して展開する集団指導塾。保土ケ谷スクール・和田町スクールが光陵の通学圏に入る。公式サイトに特色検査対策講座の設置が明示されており、比率1の光陵では取りこぼしを防ぐ水準の対策を確保できる。
湘南ゼミナール
保土ケ谷区に和田町校・西谷校・星川校・保土ケ谷校の4校を持ち、3社のなかで同区の教室数が最も多い。特色検査に特化した講座と対策模試を公式に設置している。通塾動線の選択肢を広く取りたい場合の候補になる。
光陵の入試特性と学年別の準備の進め方は「光陵高校の塾選び」で単独記事として扱っています。あわせてご覧ください。
希望ケ丘志望の塾選び
希望ケ丘は光陵と第1次・第2次とも数値が完全に一致します。制度で差がつかない以上、塾選びの判断軸は通塾動線と、その動線上でどれだけ選択肢を確保できるかに移ります。旭区は3社とも教室を持っていますが、密度に差があります。
湘南ゼミナール
旭区に鶴ヶ峰校・二俣川校・市沢校・希望ヶ丘校・鶴ヶ峰白根校・万騎が原校の6校を持ち、3社のなかで同区の教室数が最多。希望ケ丘の最寄駅である希望ヶ丘駅にも教室がある。相鉄線沿線での乗り換えなしの通塾を組みやすい。
臨海セミナー
旭区に希望ヶ丘・二俣川・鶴ヶ峰、隣接する瀬谷区に三ツ境の教室がある。2026年度の希望ケ丘合格者は44名で、2024年38名・2025年42名からの推移として公式に発表されている。県公表の合格者359名に対する占有率は約12%。個別指導部門を同一グループ内に持ち、科目単位の補強を塾内で組める。
個別指導
競争率1.42倍は4校で2番目に高く、失点の管理が順位に効く。弱い教科が特定できている場合、その教科だけを個別で埋める使い方が現実的。集団と併用する形が費用面でも取り回しやすい。
柏陽志望の塾選び
柏陽は3:7:2で、第1次・第2次とも特色検査の比率が2です。4校で唯一、特色検査が明確な得点源になります。加えて競争率1.52倍は4校で最も高く、失点の許容幅が狭い入試です。第1の判断軸は特色検査対策の体系になります。
STEP(高校受験ステップ)
公式サイトに特色検査対策講座の設置が明示されており、特色検査を実施する公立上位19校の合格者総数がNo.1であると記載がある。栄区の本郷台スクールに加え、港南台スクール、大船スクール、大船笠間スクールが柏陽の通学圏に入り、4校のなかで栄区周辺の選択肢がもっとも多い。
湘南ゼミナール
特色検査に特化した講座と対策模試を公式に設置している。総合進学コースでは中学1年生から特色検査対策講座を実施していると公式サイトに記載がある。栄区には桂台校・本郷台校の2校がある。
臨海セミナー
2026年度の柏陽合格者は39名で、県公表の合格者319名に対する占有率は約12%。特色検査対策の体系は持つが、栄区の教室は本郷台の1校のみで、ほかは港南台(港南区)、大船(鎌倉市)からの通塾になる。4校のなかで通塾動線がもっとも取りにくい組み合わせ。
川和志望の塾選び
川和は第1次が4:6:1、第2次が7:3:1です。第2次で観点別学習状況の評価が他校より重く働くため、定期テストの点数だけでなく、授業への参加と提出物の質が最後まで効いてきます。この領域は集団授業では手当てしにくい部分です。
個別指導(TOMASなど)
観点別評価は提出物・ノート・振り返りの記述から積み上がる。1対1の形態であれば、提出物の進捗と質を個別に管理でき、授業内の振る舞いまで相談できる。TOMASはセンター北校が川和の通学圏に入る。集団と併用し、管理の部分だけを個別に切り出す組み方も現実的。
臨海セミナー
都筑区に都筑ふれあいの丘・センター北・センター南・仲町台・中川・北山田の6教室を持ち、川和の通学圏では選択肢が広い。2026年度の川和合格者は37名。県公表の合格者359名に対する占有率は約10%。中学校別の定期テスト対策を小中学部で実施しており、観点別評価につながる提出物の管理も指導範囲に入る。個別指導部門を併用できる。
オンライン併用
都筑区は3社とも教室が多く、通塾動線の制約は小さい。それでも部活動との両立で通塾回数を抑えたい場合、5教科の演習をオンラインで補い、通塾は定期テスト対策に絞る組み方がある。ただし観点別評価の管理は対面の方が確実で、完全オンライン化は勧めない。
4校の選び分け一覧
| 志望校 | 第1の判断軸 | 第1候補 | 第2候補 | 第3候補 |
|---|---|---|---|---|
| 光陵 | 実績の厚みと通塾動線 | 臨海セミナー | STEP | 湘南ゼミナール |
| 希望ケ丘 | 旭区での通塾動線 | 湘南ゼミナール | 臨海セミナー | 個別指導 |
| 柏陽 | 特色検査2への体系 | STEP | 湘南ゼミナール | 臨海セミナー |
| 川和 | 第2次の態度評価3 | 個別指導(TOMASなど) | 臨海セミナー | オンライン併用 |
各塾の教室配置・コース設置・合格実績は各社公式サイトの記載に基づきます(2026年9月時点)。順位は入試特性との噛み合わせ、通塾動線、通塾以外を含む選択肢の順に判断したもので、塾の総合的な優劣を示すものではありません。
横浜西部・北部の4校すべてに合格実績を持つ塾|臨海セミナー
前章では第1候補が4社に分かれることを示しました。一方で、4校すべてに実績を持つ塾が1つあります。志望校が4校のあいだで揺れている段階では、この汎用性が判断材料になります。
4校の合格者数と占有率
光陵 合格者数
(2026年度・11年連続No.1)
希望ケ丘 合格者数
(2026年度・3年連続で増加)
柏陽 合格者数
(2026年度)
川和 合格者数
(2026年度)
合格者数は塾の規模によっても変わります。実際の対応の厚みを測るには、県が公表している合格者総数に対する割合を見た方が正確です。
| 高校名 | 県公表の合格者数 (令和8年度) |
臨海セミナー (2026年度) |
占有率 |
|---|---|---|---|
| 光陵 | 279名 | 105名 | 約38% |
| 希望ケ丘 | 359名 | 44名 | 約12% |
| 柏陽 | 319名 | 39名 | 約12% |
| 川和 | 359名 | 37名 | 約10% |
占有率は、県公表の令和8年度合格者数と、臨海セミナーが公式サイトで発表している2026年度合格者数から算出した参考値です。合格者数は各社公式発表に基づきます。出典:臨海セミナー「高校入試 合格実績」(2026年9月時点)/神奈川県教育委員会「令和8年度神奈川県公立高等学校入学者選抜一般募集共通選抜等合格状況」
光陵の約38%と、他3校の約10〜12%のあいだには明確な段差があります。この差は指導内容ではなく、区ごとの教室配置と対応しています。
区別に見る教室網と通塾動線
| 高校名 | 所在区 | 通学圏の主な教室 | 動線の取りやすさ |
|---|---|---|---|
| 川和 | 都筑区 | 都筑ふれあいの丘・センター北・センター南・仲町台・中川・北山田 | 6教室。4校で最多 |
| 希望ケ丘 | 旭区 | 希望ヶ丘・二俣川・鶴ヶ峰+三ツ境(瀬谷区) | 相鉄線沿線に集中 |
| 光陵 | 保土ケ谷区 | 星川・保土ヶ谷・和田町 | 3教室が通学動線上 |
| 柏陽 | 栄区 | 本郷台+港南台(港南区)・大船(鎌倉市) | 栄区は1教室のみ |
出典:臨海セミナー公式教室一覧(2026年9月時点)
興味深いのは、教室数と占有率が単純には対応していない点です。川和は都筑区に6教室あって占有率は約10%、光陵は保土ケ谷区に3教室で約38%です。教室の数だけでは実績の厚みを説明できません。
光陵の11年連続が意味すること
光陵の合格者数No.1は11年連続と公式に発表されています。単年の実績であれば受検者の巡り合わせで動きますが、11年という期間は指導体系が安定して機能していることを示す数字です。
教室長として同業の立場から見ると、特定校で10年以上首位を維持するには、その学校の入試傾向の蓄積に加えて、周辺中学校からの生徒の流れが安定している必要があります。光陵の場合、保土ケ谷区の3教室が通学動線と重なっており、地域の中学校のデータが継続的に積み上がる構造ができていると考えられます。
逆に言えば、この厚みは光陵に固有のものです。同じ塾でも希望ケ丘・柏陽・川和では約10〜12%にとどまります。「光陵に強い塾だから他の3校にも強い」とは読み替えられません。実績を見るときは、塾全体の数字ではなく志望校ごとの数字で確認してください。
栄区の教室が薄い点をどう補うか
4校のうち柏陽については、正直にお伝えしておくべき点があります。栄区にある臨海セミナーの教室は本郷台の1校のみで、ほかは港南台(港南区)、大船(鎌倉市)からの通塾になります。同じ栄区で湘南ゼミナールが2校、STEPが本郷台に加えて港南台・大船・大船笠間を持つのと比べると、選択肢が限られます。
柏陽志望で臨海セミナーを検討する場合は、次の順序で判断してください。
- 自宅から本郷台・港南台・大船のいずれかまで、実際に何分かかるか 地図アプリの数字ではなく、平日夜の時間帯に一度実際に移動して測る。片道30分以内なら候補として成立する
- 特色検査対策の授業を、その校舎で受けられるか 柏陽は特色検査の比率が2で、対策が実施される校舎かどうかが直接効く。拠点校まで移動が必要な場合、その移動時間も計算に入れる
- 同じ中学校からの通塾実績があるか 面談で「この校舎に、うちの子の中学校から何名通っていますか」と聞く。通えている実例の有無が、机上の所要時間より確実な判断材料になる
- 冬期の帰宅時間帯に便が確保できるか 中学3年生の1月から2月は授業終了が遅くなる。この時期に通いきれるかどうかで判断する
通塾動線が制約になる場合、無理に近くの塾に合わせて志望校を下げるのではなく、通える範囲で特色検査対策を確保する方法を探すのが順序です。
光陵と希望ケ丘で迷っている場合の判断
この2校で迷うご家庭は毎年います。どちらもエントリー校で、比率は4:6:1、第2次は8:2:1。教科の重点化もありません。選考基準の表を並べても、違いが出てこない組み合わせです。
数値が同じ2校を分けるのは何か
| 要素 | 光陵 | 希望ケ丘 |
|---|---|---|
| 第1次・第2次の比率 | 4:6:1/8:2:1 | 4:6:1/8:2:1(同一) |
| 合格者数(令和8年度) | 279名 | 359名 |
| 競争率(令和8年度) | 1.34倍 | 1.42倍 |
| 所在区・沿線 | 保土ケ谷区(相鉄線・JR) | 旭区(相鉄線) |
| 塾の教室密度(同区) | 臨海3・STEP2・湘ゼミ4 | 臨海3+1・STEP3・湘ゼミ6 |
教室数は各社公式サイトの教室一覧に基づきます(2026年9月時点)。臨海セミナーの希望ケ丘欄の「+1」は隣接する瀬谷区の三ツ境教室です。
制度で差がつかない場合、残る変数は規模と動線です。希望ケ丘は募集規模が80名多く、競争率もやや高い。一方で旭区の塾の選択肢は保土ケ谷区より多く、相鉄線1本で通える範囲に教室が並びます。
どちらを選ぶかの判断手順
- 1. 通学動線を先に確認する 3年間毎日通うのは高校です。塾より先に高校への通学時間を測る。相鉄線沿線に住んでいるなら希望ケ丘、横浜駅方面からの動線なら光陵が素直になる
- 2. 学校説明会に両校とも行く 制度で差がつかない以上、学校の雰囲気と進路指導の方針が判断材料になる。数字ではわからない部分をここで埋める
- 3. 塾の選択肢を動線上で数える どちらの高校を選んでも通える塾が複数あるか。1つしかない場合、その塾が合わなかったときに詰む
- 4. 志望校の確定は中学3年生の秋まで待ってよい 制度が同じということは、対策も同じでよいということ。この2校のあいだで迷っている限り、学習計画を変える必要はない
- 5. 模試の判定は両校とも出しておく 判定の推移を並べて見ると、どちらに余裕があるかが見える。模試の使い分けは別記事で解説している
この2校で迷っている段階では、塾選びを急ぐ必要はありません。制度が同じである以上、どちらに決まっても対策は変わらないからです。模試の選び方と判定の読み方は「神奈川で受けるべき模試」でまとめています。塾選びの判断軸そのものは「塾選びの6つの判断軸」を参照してください。
横浜西部・北部の塾選びでよくある失敗パターン
教室長として横浜市西部・北部で面談を重ねるなかで、繰り返し見てきた失敗を4つ挙げます。どれも中学2年生までに手を打てば避けられるものです。
失敗1:第1次の比率が同じだから同じ入試だと判断する
光陵・希望ケ丘・川和はいずれも4:6:1です。この一致を見て「3校とも同じ対策でよい」と考えると、川和の第2次選考7:3:1を見落とします。選考基準は第1次と第2次の両方が公表されています。比率表を見るときは、第1次だけでなく第2次の列まで確認してください。県のサイトで誰でも確認できます。
失敗2:川和の第2次選考を内申対策と混同する
川和の第2次で重く働くのは「主体的に学習に取り組む態度」の観点別評価であって、9教科の評定ではありません。第1次の内申比率は4で標準的です。ここを混同して評定を上げることだけに時間を割くと、観点別評価につながる提出物や振り返りの質が後回しになります。評定と観点別評価は別の指標です。通知表の両方の欄を確認してください。
失敗3:柏陽の通塾動線を後回しにする
柏陽のある栄区は、3社とも教室数が少ない地域です。指導内容で塾を決めてから通塾時間を測ると、片道40分を超えて中学3年生の冬に通いきれなくなることがあります。柏陽は特色検査の比率が2で、対策を継続できるかどうかが合否に直結します。通える範囲を先に確定させてから、そのなかで特色検査対策を持つ塾を選んでください。順序を逆にしないことが対策です。
失敗4:塾全体の実績を志望校の実績と読み替える
説明会やチラシで示される合格実績は、多くの場合その塾の全体数字です。同じ塾でも、光陵で約38%の占有率を持つ一方、他の3校では約10〜12%にとどまります。知りたいのは「自分の志望校に、その校舎から何名合格しているか」です。面談ではこの粒度で質問してください。答えられない場合、その反応自体が情報になります。
よくある質問(FAQ)
Q. 光陵と希望ケ丘は選考基準が同じですか?
第1次選考も第2次選考も数値が完全に一致します。どちらも第1次が内申4:学力検査6:特色検査1、第2次が学力検査8:主体的に学習に取り組む態度2:特色検査1で、教科の重点化もありません。県の指定区分も学力向上進学重点校エントリー校で同じです。したがって入試制度では選び分けられず、募集規模、競争率、通学動線、学校の雰囲気が判断材料になります。
Q. 川和高校の第2次選考は他の学校とどう違いますか?
第2次選考の比率が学力検査7:主体的に学習に取り組む態度3:特色検査1で、態度評価の比重が他校の1.5倍に設定されています。光陵と希望ケ丘は8:2:1、柏陽は8:2:2です。第2次は募集人員の残り約10%を選考する場面ですが、第1次で合格に届かなかった受検者にとっては、この観点別評価の差が順位を動かします。第1次の比率表には現れない違いです。
Q. 川和高校は内申が重い学校ですか?
第1次選考の内申比率は4で、横浜西部・北部の4校のなかでは標準的です。重いのは第2次選考の「主体的に学習に取り組む態度」の観点別評価で、比率3が設定されています。評定と観点別評価は別の指標で、観点別評価は授業への参加、提出物、振り返りの記述などから積み上がります。評定を上げることだけに集中すると、この部分が手薄になります。
Q. 柏陽高校の特色検査対策はどのくらい必要ですか?
第1次・第2次とも特色検査の比率が2であるため、学力検査の1教科分以上の重みがあると考えて準備してください。柏陽は4校のなかで唯一、特色検査が明確な得点源になる学校です。学力向上進学重点校の自己表現検査は共通問題と共通選択問題で実施され、初見の資料を読み解く訓練に時間がかかります。中学3年生の夏までに一度も問題に触れていない状態から秋に始めると、演習量が不足します。
Q. 横浜西部・北部の4校で競争率がもっとも高いのはどこですか?
令和8年度入試では柏陽が1.52倍でもっとも高く、次いで希望ケ丘1.42倍、光陵1.34倍、川和1.19倍です。ただし競争率は志願がどれだけ集中したかを示す数字であって、必要な学力の水準を示すものではありません。倍率が変えるのは、1点をはさんで合否が分かれる人数です。柏陽志望では失点を避ける精度が、他校より強く問われます。
Q. 志望校が4校で決まっていない場合、どの塾を選べばよいですか?
4校に共通する土台である5教科の学力検査と内申を優先し、志望校が確定したときにコースを変更できる塾を選んでください。臨海セミナーは4校すべてに2026年度の合格実績を公表しており、ESC難関高校受験科・公立高校受験コース・個別指導部門を同一グループ内に持つため、志望校が動いても塾を変えずに切り替えられます。とくに光陵と希望ケ丘で迷っている段階では、制度が同じなので対策を変える必要がありません。
Q. 臨海セミナーは横浜西部・北部の4校すべてに対応していますか?
4校すべてに2026年度の合格実績を公表しています。光陵105名・希望ケ丘44名・柏陽39名・川和37名で、県公表の合格者数に対する占有率は光陵が約38%、希望ケ丘と柏陽が約12%、川和が約10%です。光陵は11年連続で合格者数No.1と公式に発表されています。ただし柏陽のある栄区の教室は本郷台の1校のみで、ほかは港南台や大船からの通塾になります。
Q. 塾の合格実績はどう確認すればよいですか?
塾全体の合格者数ではなく、志望校ごとの合格者数と、その校舎からの人数を確認してください。同じ塾でも学校によって対応の厚みは大きく変わります。県が公表している学校別の合格者数と突き合わせて占有率を出すと、実際の厚みが見えます。面談では「この校舎に、うちの子の中学校から何名通っていますか」「志望校に何名合格していますか」と粒度を指定して質問すると、比較できる情報が得られます。
まとめ:第1次の比率が同じでも、同じ入試ではない
本記事では、神奈川県が公表している令和9年度の選考基準をもとに、横浜西部・北部の公立上位4校の入試設計と、そこから逆算した塾の選び分けを解説してきました。要点を整理します。
第1次選考の比率だけを見ると、光陵・希望ケ丘・川和は同じ4:6:1です。しかし第2次選考を加えると川和が7:3:1で分離し、柏陽は第1次から3:7:2の当日点型として別の位置にあります。さらに令和8年度の競争率は1.19倍から1.52倍まで開いており、1点の重みも学校ごとに違います。
塾の第1候補は4校で分かれます。光陵は合格者数105名・占有率約38%・11年連続No.1という実績と保土ケ谷区3教室の動線が揃う臨海セミナー、希望ケ丘は旭区に6教室を持つ湘南ゼミナール、柏陽は特色検査対策講座を持ち栄区周辺の選択肢が多いSTEP、川和は観点別評価まで管理できる個別指導。制度が違えば、求める機能も変わります。
一方で、4校すべてに2026年度の合格実績を公表しているのは臨海セミナーです。光陵105名・希望ケ丘44名・柏陽39名・川和37名で、複数の部門を同一グループ内に持つため、志望校が4校のあいだで動いても塾を変えずに切り替えられます。とくに光陵と希望ケ丘で迷っている段階では、制度が同一なので対策を変える必要がなく、この汎用性がそのまま効きます。ただし柏陽の栄区は教室が1校のみで、通塾時間の実測が前提になります。
塾にかかる費用の目安を先に把握しておきたい場合は、姉妹サイトの「塾の年間費用と平均月謝の実像」で学年別の相場を確認できます。志望校が固まっていない段階でも、3年間の総額の見通しは立てられます。
最後にひとつ。選考基準の表を見るときは、第1次の列で止めないでください。第2次まで見て初めて、川和と他の2校の違いが現れます。私の経験では、この確認をしてきたご家庭ほど、説明会で聞くべきことが明確になっています。

